希少な魔物
かつて勇者が魔王を倒したと言われているが、ここ数十年の魔物の活発さは魔王が復活したのではないかという説が冒険者の間で噂になっており、その話をニラダとティアから聞いたジャンは戦慄する。
「もし本当に魔王が新たに誕生していたとしたらおっかねえな、それで他の説にはどんなのがあるんだ?」
「他には魔王の魔力を帯びた魔物が生き残っていてそいつらが魔物を凶暴化させたという説だな」
「勇者は魔王を倒したけどその部下まで全滅させたわけじゃねえんだな」
「
当時という言葉になにか引っ掛かりを覚えたのか、ジャンはニラダに再度尋ねる。
「
「ああ、前の魔王を当時の勇者が征伐してから数年を経て魔王軍に所属していた幹部クラスの魔物の遺体が発見されてね」
「遺体⁉もしかして勇者が倒したのか?」
「それは分からないが、ある国の宮廷魔術師が魔法による検死をした結果恐るべき事実が分かったんだ」
ニラダから恐るべき事実という単語を聞いたジャンは思わずニラダに続きを早く話すように催促する。
「何だよ!もったいぶってねえで早く話せよ」
「わずかながらに遺体に魔王の魔力が残っていたんだ、そして遺体を魔法で保存し、時が経ていくと……」
「まさか生き返ったのか?」
「いや、生き返る事はなかったが残留していた魔力が魔物の中で高まっていたんだ」
「な、何だって!」
魔物の遺体に残留していた魔力が時を経るにつれて高まった事に驚きを隠せないジャンであったが、更にニラダがその後の処置についても話す。
「さすがに生き返る恐れもあって、魔物の遺体は滅したが、これは魔王軍の生き残りが時を経て魔力を取り戻す証明になったんだ」
「しかしすげえな魔王ってのは自分が死んだ後に一時的に弱まってもその後魔力が時間が経つと高まるようにしているなんてな」
「この話が元でもしかしたら魔王の魔力を引き継いだ魔物が新たな魔王になっているかもしれないっていう説もあるみたいなの」
「それはそれでおっかねえな……」
「そしてそれが魔王の魔力を帯びた魔物に高額な賞金がかけられている理由でもあるんだ、だから上位の冒険者はこれらの魔物をクエストをこなしつつ討伐する機会をうかがっているんだ」
それらの魔物は希少な存在であるからこそ高額な賞金がかけられており、討伐すると冒険者にとってもランクアップしやすい魔物なのだ。
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