後衛武道家
ジャンが酒場で仲良くなったケンという武道家の冒険者は接近戦を避け気功スキルを駆使して戦っているようだ。だが本来武道家はその気功スキルと拳法を合わせて戦うのでケンは武道家としては半端者と言われているらしい。
「しかし、そのパーティーは不安だな、前衛を担うはずのケンって人がそれじゃあ」
「いや、どうも後衛を担当しているようだ、それも1人で」
「え?1人で!」
「そいつ1人で気功スキルによる遠距離攻撃と治癒ができるから、残りの3人は前衛で安心して戦っているようだ」
ジャンの話を聞き、ケンがそのパーティーで1人で後衛を担当している事実にニラダは驚きを隠せず、ジャンに質問をする。
「待ってくれ!さっきも言ったように気功スキルには体力の消費がある。1人で攻撃と治癒なんてやっていたらあっという間に体力が尽きてしまう」
「ニラダ、さっきお前が言った自然のエネルギーを利用する技もケンは身に付けているんだ、だから使用可能な回数は多いんだ」
「すごいけど、それって武道家と言えるんだろうか?」
「まあ、誰かさんは魔法使いなのに自分で前面に立って戦ったりするけどな」
誰かさんという言葉に少し心当たりがあるのか、ニラダは少し複雑そうな表情をするがジャンに対する反論の言葉が見つからず、少し不服な気持ちでいた。
「ははは、ん?ねえジャン近づいているパーティーらしき人達がいるけど、あの中にケンって人はいる?」
「おお、どれどれ、おおいるぜ!おーーいケーーン!」
ジャンに呼びかけられたケンらしき人物はジャンの声に反応し、返答をする。
「あ、ジャン!どうしたのさ?」
「いやあ、実はお前っていうか、お前のパーティーに頼みがあってな」
パーティーに頼みがあるという言葉にケンと一緒にいるパーティーメンバーが反応し、ジャンに尋ね返す。
「最近Cランクになった『成長しあう者達』が俺達に何の用なんだ?」
「まあここで話すのもなんだし、酒場で話すよ」
そう言ってケン達のパーティーとニラダ達のパーティーは酒場に入り、テーブルについて、まずはケンがジャンに尋ねる。
「それでジャン、僕達になにを頼みたいのかな」
「おお、実はな……」
ジャンは『食糧配給』のクエストを受けた事をケンに説明し、食料を魔物から守り抜くには人手が必要であることを説明する。
「なるほど、その協力を僕達にね」
「どうだ?やってくれるか?」
「早速Cランクらしく、他の村が関わる依頼を受けたのか、そして達成の為に力を貸してくれか……」
ケン、そしてパーティーメンバーの返答は?
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