自分達がやらないと
ジャンと仲良くなった冒険者ケンとそのパーティーメンバーに『食糧配給』のクエストの協力交渉をしており、ジャンに対してケンの仲間が返答をする。
「いいぜ、ちょうど次のクエストをどうしようか迷っていたところだしな」
「いいのか?あんたらにも報酬は払われるけど、魔物と出くわさない事もあるかもしれないんだぜ」
「魔石やドロップアイテムが手に入らないかもしれない事を気にしているのか?じゃあ逆に何でお前らはそれこそ得の少ないクエストを引き受けたんだ?」
「それは……」
ジャンが説明しようとするとその場面にミヨモが加わり語りだす。
「ジャンさん、私が話すね」
「ミヨモ」
「今回この食糧配給のクエストを受ける事になったのは私の提案で、二、リーダーが私の提案を受け入れてくれたからなんです」
「お嬢ちゃんが提案したのか、俺はてっきりそこの聖職者のねえちゃんが提案したもんだと思ったんだが」
ミヨモが提案したのが意外そうであり、ケンのパーティーメンバーはティアが提案したと考えていたが、その言葉を聞きながらミヨモは語り始める。
「私が提案したのはその、私達がそのクエストに挑むのを決める前にどのパーティーも挑んでいなかったので、私達がしなければ、このまま村の人も復旧作業をしている人もお腹を空かすんじゃないかと思ったんです」
「お嬢ちゃんがそう心配してクエストを受けたのか、だがこのクエストはあくまで補助的なもので主だった支援は国や地域でもしているはずだ」
「それでも間に合わない事もあります、すぐにできるなら私達がしないとと思ったんです」
「なるほどね、国とかは他に優先しなくちゃいけない事もあるからな」
ミヨモの言い分に一定の理解を示し、納得する意思を冒険者は見せ、それを受けミヨモも返答をする。
「ええ、私達が受ければ、上手くいけば数日で食料を届けられますから」
「そうだな、よっしゃ、ここはお嬢ちゃんの優しい気持ちと、そこのリーダーさんの男気に感銘を受けたって事でクエストに挑むぜ」
「ありがとうございます」
「しかし、魔物と出くわさなければあんたらは報酬以外なにも得られないがいいのか?」
「まあ、それは構わねえよ、そんじゃギルドに行って依頼を受けてくるぜ」
そう言って、ケンのパーティーのリーダーと思しき男は他のパーティーメンバーと共にギルドへと向かっていく。
「ジャン、よろしくね」
「おお、ケン、お前の事も頼りにしてるぜ」
なんとかもう1組も食力配給クエストに加わってくれる事となり、ニラダ達にとって事が大きく前進した瞬間であった。
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