10-1:気づけば共に飲める歳

第10章(大学時代②)

久しぶりに相見える二人、相容れない想い

10-1:気づけば共に飲める歳


 大学に入ってしばらくして、ちらほら高校時代に顔を合わせていた時から考えても実に五、六年振りに彼女と再会を果たした。同級生として日常的に会っていた頃から随分と年月が経ち、二人とも酒を飲める年齢に達していた。

 本来であれば幼馴染で同郷の仲という事で、成人式やら同窓会やら、会おうと思えば会える機会はあったはずのところだが、彼女はやはり中学時代までの経験が枷となったようでその手の行事をすべて不参加としていた。そのせいか、僕は彼女も僕や皆と同じように歳を重ねていたという当たり前の事実をどこか忘れていて、何の違和感も感じぬまま恋仲でも無いのに年頃の異性と二人で会う約束を取り付けてしまう。今思えばけっこうな暴挙だ。いくら中学時代に仲が良く、ほんの一時だが付き合った身といえども、何かの祝い事等の建前すら無しによく警戒されずに実行出来たものである。


 そのような久々の顔合わせという名の危ない橋を渡った甲斐があったのか、僕達は少しではあるがまた連絡を取り合うようになる。それぞれの大学とその近辺の話だとか、学習内容の話だとか、高校に入りたての頃に初めてメールを交わした時と似たような内容の、たわいも無い会話をしていた。時折、一瞬だけあった恋仲時代の話もしつつ。

 年齢が同じではあるが僕が一浪していた都合で学年的には彼女がひとつ上だった事と、文系・理系が違った事もあり、なかなか連絡頻度が増える事は無かったが、少なくとも僕は、その貴重な彼女との会話で、他の友達とでは得られない「何か」があるのをうっすらと感じ取っていた。その正体が長らく放置されていた彼女への決して小さくない未練である事に気付くのにはその後しばらくかかってしまったけれども。

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