7-2:わずか一頁限りのヒロイン
7-2:わずか一頁限りのヒロイン
皆様は、今までの恋愛の始まりはどのようなものがあっただろうか。一目惚れだとか、クラスや職場で仲を深めてとか、合コンで意気投合したとか色々あるだろう。
もしその「色々」の中に「その場のノリで」というのが入っている方には是非、その恋愛がどのような結末を迎えたかをお聞かせ願いたいものである。そのような覚束無い始まり方では、まず上手くいかないはずなのである。恋愛はそれぐらい難しいものだと僕は認識している。
高校に入って最も交流が深かった女友達の伝手で知り合ったまた別の異性がいたのだが、その当時クラスは違ったし、二年になって同じクラスにはなるもののそれまでほとんど接点が無く、互いの情報等まるでゼロに等しかった。それなのに、当時の僕は何と彼女と別れてから10ヶ月ぶりのお付き合いというものをその方と始めてしまったのである。一度目の恋愛は関係を進める前からお互いの事をある程度は見ており、相手がどのような人柄であるか等の知識は自然と蓄積されていた。がこの二度目の恋愛の始まりは本当にゼロからもゼロから、まともな経験が無い身である事を考えれば、あまりにも無謀な話である。だが寂しがりな性格が祟ったのだろうか、その危険性に気が付く事は無く、ただ甘美な感覚にだけ酔いしれてしまっていた。
まともにレベルを上げずに豪華な宝を求めて最後のダンジョンに向かえばどうなるかなんてものは、火を見るより明らかだ。関係を進める前には見えていなかった互いの合わない点が次々に露呈した事により、大変に痛い目を見た上で半年も経たずに二度目の恋愛は終わりを告げた。勿論、楽しかった事が全く無かったわけでは無いのだが、結果だけ考えれば完全に互いの関係を遠ざけただけのものであった。基本的に自身が選んだ道に対して後悔はしたくないと考えているのだが、あの道はさすがに僕の為にも相手の為にも、もっときちんと考えて選ぶべきだったと今も少し悔やんでいる。
流れに身を任せた恋愛の始まりというのが花開くのは、やはりフィクションの世界だけではなかろうか。
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