5-3:携帯は身体に悪いとしか思ってなかったが

5-3:携帯は身体に悪いとしか思ってなかったが


 皆様は「3C」という言葉をご存知だろうか。「Customer(客)」

「Company(自社)」

「Competitor(競合)」

を分析対象として指すマーケティング用語、という意味合いもあるにはあるがそちらではなく、僕が言いたいのは

「Color Television(カラーテレビ)」

「Cooler(クーラー)」

「Car(車)」

を指す方である。「三種の神器(白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機)」が普及したその後に普及し始めたいわば「新・三種の神器」だ。だがちょうど僕が中学を卒業し高校に上がるぐらいの段階で、この「3C」より遥かに急速に普及し出した「C」があった。「Cell phone(携帯電話)」である。


 三種の神器も3Cも、基本的には一家に一台or物によっては二台であるが、携帯電話に関しては他と異なり一人一台だ。そして昔はメールと電話ぐらいしか出来なかったはずが、僕が初めての携帯電話を選ぶ頃にはもうとてつもなく多機能になっていた。そのような事もあり、良からぬ事に使う人も少なからず現れ、よくニュースになっていた。

 また、先に高校を卒業した兄が、これから世界が大きく広がるという中で何かあった際に母と連絡を取れるようにする為、僕より先に二人が携帯電話を持ち始めた。これが仕方が無いながらもどこか悔しかったというのもあり、いつしかこの文明の利器を「身体に悪い物」と思うようにする、なんて負け惜しみでしか無い考えを持つようになっていた。


 しかし元来寂しがりで誰かと話をするのが好きな僕は、いざ携帯電話デビューをすれば、当然の如くメールにハマる(どれぐらいかと言うと、後に高校に入って初めてのクラスメイトの連絡先を全員分集めたぐらいだ)。下手な反抗の気持ちはすっかりどこかに消え去り、早くも家族の誰よりフル活用し始める。

 そんな僕は早速、卒業アルバムに残された種を忘れぬうちに発芽させるべく、彼女の連絡先を登録し、やり取りを始めたのだった。

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