4-3:後に身を救う、異端な考え方

4-3:後に身を救う、異端な考え方


 これはある程度大人になった今だからこそ感じている事なのだが、いじめ問題のとても厄介な性質は「いじめる側の方がいじめられる側に比べて、仲間を作りやすい」という点にあると思う。そのような性質があると言える根拠としては「単純に、いじめられないよう加害者側に回ってしまう人が多い」「被害者側が交友関係の狭い人である事が多い」などなど。(これは子供達だけの問題では無く、職場のパワハラにも同じ事が言えるように思う。)

 この性質があるという事はつまり、そのような本来おかしいはずである行為が宗教で言う「正統」側になってしまいやすいという事でもある。宗教では基本「正統」を残し「異端」を消し去るという動きになるのだが、その残しにかかるものが物凄い危ないもの、という極めてよろしくない状態になりかねず、犠牲者が出る前にこの異常さに誰かが気づかねばならない。これがなかなか難しいのも知っているが。


 僕はいつも人と考え方がズレていて、それにより交友関係は広がらなかったしそもそも広げ方はおろか作り方もわからなかったし、それも自分がいじめに遭う一つの原因となったのだが、周りが何をしようと、その人数が増えようと、絶対に彼女へのいじめには加担しないという事に繋がった。というのもあり(迷惑をかけなかったとは言っていないが)、まさに「異端」だった、でも「異端」で良かった。もし僕が「正統」側になっていたとしたら、彼女はきっと、失望していたろうし、後の人生の彩りが大きく減っていたろうから。


 そんな色々な意味で「異端」だった中学生活。周りにはたいそう変な目で見られていた事だろう。しかも自分自身はまさか自分が「異端」だなどと思っておらず、まあ滑稽な状況だっただろう。でもそれが間違いなく自身を救っており、彼女がその後の人生でも僕を良い方向に導いてくれる為に必要な期間であった。

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