4-2:まだ傘を共にする意味をよく知らない
4-2:まだ傘を共にする意味をよく知らない
相合傘-確固たる互いへの信頼を持つ男女にのみ許される、二人の世界を創造し、共有する行為。
今の僕の解釈は、こうである。しかし当時の僕の解釈は「なんか仲良しの二人がやるヤツ!」程度のもの。間違ってはいないのだが、あまりにも言葉足らず。しかしあの時は多分その方が良かった。そのおかげで「え?彼女とは確かに仲良いですけど?」ぐらいで受け流せたから。もう少しきっちりと意味を知っていたら、また下手な照れ隠しで彼女を傷つけていた可能性を否定出来ないので、ここは最悪を回避した事を素直に良しとしたい。
また、これは僕の記憶が正しければだが、彼女も少なくともこの件についてだけはダメージを受けていなかった。僕と同じように「そうですがそれが何か?」ぐらいの、毅然とした態度を示してくれていた覚えがある。
思えば、ここで周りにからかわれる事態を避けたいが為に彼女側から距離を取られてしまっていた可能性もある。皆に気持ちを乱される事も無くただ一途に想ってくれていたのは、今更過ぎるが、非常に感謝している。人生の中の一部分だけでも、そのような人が出現してくれるというのは、とてつもなく価値があり、美しい思い出として残り続けてくれるから。実際、あの時からかなりたった今でも、このように記憶をもとに当時の回想を書き記せているのだ。
今ではテレビ等でもよく取り上げられる学校での生徒同士、時には先生をも巻き込むいざこざは、場合によっては登校する気持ちを抑え込んでしまう。僕は運良く自身の性分と彼女の存在により、まるで何も起きていないかのように登校出来ていた。あまり母に褒められた記憶が無いが、これらに基本的に飄々と対応していざという時はやり返すという点だけは間違い無く褒められており、彼女への感謝と共に、僕自身にもよく頑張ったと自分に言ってやりたい。
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