3-1:中学の男女二人きり、言うほど何も起きない
第3章(中学時代②)
自由な二人きりの部活動、謳歌しすぎて見逃す彼女の想い
3-1:中学の男女二人きり、言うほど何も起きない
もし中学時代における僕達の接点が「初年度に同じクラスだった」だけであれば、僕の中で彼女がそこまで印象に残る事は無かったかもしれない。バレンタインでの「謎の恥ずかしさ」も感じる事無く、もしかしたら無知のまま通りすぎてしまっていたかもしれない。
しかし僕の心の成長(特に恋愛面)が極めてスローペースのままで、彼女への興味と、彼女との思い出だけは着々と積み重なっていった。僕達は3年間、部活動が同じだったのだ。しかも最初はしばらくの間、部員が僕達二人だけであった。小学時代ほとんど無かった接点が、中学に行ってから一気に増えた事になる。
所属していた部活動は、人によっては「そんな部があるのか」と思われるだろう、家庭科部だった。活動内容は文字通り家庭科に関連する事で、主に裁縫や編み物、料理だ。僕はぬいぐるみをよく集めていた事もあり、この中でも裁縫に特に興味があって入部した。
最初は先輩が数人いたはずだったのだが、いつの間にかいなくなっていて、顧問の先生もビックリするほど放任主義でほとんど部室に来なかった為、同じく入部した彼女となかなかに広い家庭科室で二人、自由に裁縫やら編み物やらを楽しんでいた。
当時は前述の通り何も知らなくて、そのような事は少しも考えつかなかったのだが、中学生とはいえ男女で二人きりというこの環境下、よくよく考えてみればかなり危ない橋である。この時ばかりは僕が思春期のしの字も無い子供のままで良かったと心の底から思う。何かが起きるのはフィクションの世界だけで良いだろう。
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