2-3:素直に向き合えるほど成長していなくて
2-3:素直に向き合えるほど成長していなくて
彼女の想いから無自覚に目を逸らし続けていたわけだが、なけなしの言い訳をさせていただくと、最初から最後まで無関心だった訳ではないというのもまた確かであった。
随分時が進むが、少なくとも、中学3年の時のバレンタインデーの時には何も知らない事は無く「何となく恥ずかしい」ぐらいの感情を身につけていた。というのも、彼女にチョコをいただいた記憶が鮮明にあり、それと同時に、何か凄く恥ずかしくて盛大に突っぱねて近くにいた先生にその対応は有り得ないとかなり怒られた記憶も鮮明にある…。
あの時、何故恥ずかしかったかまではわからなかったが、とにかく物凄く恥ずかしかったという事だけは間違い無い。決して嫌では無かったのだ。しかし自身の中に渦巻く感情を飲み込みきれず、混乱のあまり最悪の対応をした。平たく言えば、素直になれなかった。
無知の段階からほんの少しは前進していたのだろうが、結局この時までも、先生に怒られた理由も含めてきちんと理解しきる事は無く、ただ「とりあえず怒られたから謝って態度を改める」ぐらいで終わってしまったので、ド屑はド屑のまま。中学最終年のしかも2月、すなわちあと1ヶ月で卒業というところまで時が進んでいたのに、僕が大人の階段の存在に気づくのは、全然まだまだ先だった。
初年度に告白をしてくれて、最終年度にバレンタインチョコをくれて、それなのに僕は徹頭徹尾この体たらくで。階段に何度も誘ってくれた彼女に3年間フルタイムで迷惑をかけ続けた事になる。思い出すと、いっそ助走をつけてぶん殴って欲しくなってきた。
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