2-2:未知の出会いに対する感情も未知で

2-2:未知の出会いに対する感情も未知で


 告白を受けた時の選択肢というのは、基本的にYESかNOの二択である。保留する時もあるだろうが、それでもあまり期間を置きすぎないうちに回答するのが一般的である。今ならこれがきちんと理解出来ているのだが…。

 告白を受けた中学1年生の僕は、あろう事かほとんど何も無かったかの如くしてしまった。恋愛の事を少しも知らず、答えるというのが頭に無かったとはいえ、まあ考えうる限り最低の対応である。皆様は決してこのような男失格の対応をする者にならないでいただきたい。


 恐ろしい事に僕の罪はそれだけでは無い。「好き」という言葉の意味をよくわからないままであったのが災いし、この告白イベントが発生するより先に別の同級生女子との噂が立っていたのである。そもそも告白を受けた時の対応がわかっていない者が誰かに告白するなど頭にあるわけがなく、全くの噂でしか無いのだが、これについても肯定も否定もせず、自分の事なのにどこか他人事みたいに考えて完全にしてしまっていた。好きな男がこのザマで、彼女の心境は察するに余りある。このような無自覚でド屑以外の何者でも無い事をしてしまっている男に、彼女はよく好意を持ってくれたものだ…。


 もしもフィクションのラブコメでこのような事態を招く男が主人公だとすれば、炎上待った無しである。最近は中学生同士の恋愛を扱った作品も多いが、そこに出てくる主人公達は立派なものだと、自身の犯した罪を数えれば数える程、そう痛感する。

 無知は罪である。しかし真の大罪人は、それに関してすらも無知である。

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