1-2:勉強が出来るバカはタチが悪い

1-2:勉強が出来るバカはタチが悪い


幸いにも、僕は勉強の成績は良かった。小学時代のテストはほとんど90~100点を取れていた。ただ一つ思うのは、この時期の勉強の得手不得手は「飲み込みが早い」「宿題はとりあえずやる」ぐらいの要素しか関係が無いようにも思う。本来勉強は何かしらする目的があるものだが、小学校ではなかなかそこを教わらないし、仮に教えにかかったところで、児童側が理解出来ない可能性も高い。小学生の勉強というのは「嫌な事から逃げすぎない大人になる為の修行」みたいなところがある気がする。僕はただ逃げなかったというか、逃げる事を知らなかったというのが大きい。それでも今の子供達とその親御様方にはよく知っておいていただきたい。逃げなさすぎは身体に悪いからその選択肢を最初から亡きものにするのは良くない、と。後に私も彼女も、逃げる事を知らなくて痛い目を見てしまったものだから。


あの時もっと勉強出来ていれば、と悔しい思いを学校に残している方もいらっしゃる可能性が高いので、勉強が出来た事自体は素直に良かったと受け止めておくが、問題はそれ以外の面だ。大人の世界でも、ちょっと周りより結果を出せているからと言って調子に乗ってしまう愚か者は様々なところに存在するが、悲しい事に彼らはまさに昔の僕である。自信過剰というか、どこかお山の大将なのだ。大人が見れば間違いなくムカつくヤツであり、あまり多くを知らない同い年~ほんの少し歳上歳下の者が見ても何となく気に食わないヤツと思われるのは仕方が無かっただろうと、今更過ぎる反省をしている。


この段階から着実に、「異端者」の片鱗を見せ始める。勉強が出来ても別の意味では間違いなくバカだった僕にとっては「何故周りの冷たい視線が増えているかがわからない」である。異端側の人間というのはいつだって、自分の方が正統だと思っているのだ…。

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