Dear my beautiful season
Love wing Mar
1-1:平和で命知らずな無知
第1章(出会い)
単なるクラスメイト、全ての始まりはごくありふれた関係
僕と彼女の出会いは小学校中学年の時だが、ただただクラスが同じになったという程度であり、この時はほとんど交流という交流も無かった。互いに別のコミュニティを形成していたかというとそれもまた少し違って、困った事に当時の僕は、誰ともあまりしっかりと関係を築かない人間だった。築かないというか築けないというか、そもそも友達関係というのが何たるかをきちんと理解していなかったのだ。休み時間で最も多くやっていた事は「アテも無く、ただ何となくで学校の隅から隅まで冒険してみる」みたいなもの。当時周りの皆が休み時間などで一緒にボール遊び等をしていた事を思い出すと、僕は随分心の成熟が遅れていたようだ。
そんな僕に恋愛の事などほんの少したりともわかるはずがなかった。「好き」という言葉をまだ「とりあえず言われると嬉しい言葉」ぐらいにしか思っていなかったのだから。フィクションでは割と小学生に恋心を抱かせたりする作品はあるにはあるけれど、実際のところなかなかそこまで至っている者はこの段階では多くないように思う。いや僕の辞書に無かっただけで、実際に存在していたのを見逃していただけである可能性は完全には否定出来ないのだが。
そんな浮つきようの無い当時の僕が彼女について思った事は「名前が覚えやすい」ぐらいのものだった。当然、ものを感じる力が僕側にまともに備わっていないのだから、それ以上何かを感じようにも感じられない。ただこれは、今思えばこの時点では最適解だったかもしれない。というのも、友達関係や恋愛関係などプラスの事をここまで書いたものの、マイナスの感情を持つ可能性だってあったわけだ。もしこの段階で「何となく」でそうなってしまっていれば、恐らく関係はそれまでだった。
ここではあくまでまっさらな関係。まさかその後彼女との間で数え切れないぐらい色々な事が起こるとは、私のみならず彼女も全く思わなかった事だろう。
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