第43話 危険と機嫌と棄権 14
ご飯、味付け海苔、納豆、味噌汁、漬け物。
質素なご飯だが、何故かお祖母ちゃんの家で食べるご飯は美味しく感じる。
水が違うのかもしれない。
家の前は道路を挟んで辺り一面が田んぼ。
ここはど田舎なのだ。
むしろ褒め言葉だ。
そして、この辺の時間はゆっくり流れている。
僕の感覚だがゆっくりだ。
まるでギルの
いや違うなぁ。
ゆっくりなのに気付いたら時間が経っている。かな?
んーーー……、表現が難しい。
僕の住んでいる所はなんかこう生き急いでいる感じがするのだが、この辺りの人達はその反対だ。
心にゆとりがある。って言うのかな?
世の中にはお金があれば何でも買えるっていう人もいるみたいだが、「そんなことはない」って思える何かがある。その何かを言葉に出来ないのが悔しい。
とにかく僕はこの場所が好きだ。
光「今日のお昼ご飯は何??」
光「じゃあごちそうさまする」
昼ご飯の為にもお腹のスペースを空けとかなくてはいけない。お刺し身も絶品なのだ。
僕はお茶碗二杯目を我慢して茶の間へ向かった。
茶の間に入っていくとみんな揃っている。
雅と焔もすでに来ていたみたいで由良と遊んでいた。
僕が近寄るとなにやら会話をストップして違う話題に切り替わったようだ。
男の子に聞かれると不味い話でもしていたのか?
僕は気を使って男組の方へ移動した。
こっちは優理と日向が二人でゲームしている。
力斗にはまだ難しいゲームなので観戦して楽しんでいた。
僕もしばらく観戦していたが、優理がまだちょっと下手なのでなかなかクリアが出来ないようだった。
普段ならそんな優理の手からコントローラーを奪い取っているのだが、少し由良達の会話が気になってゲーム観戦にはあまり集中していなかった。
会話中たまに『光君が……』と僕の名前が出てくるのだ。気にならないはずがないだろう?
しかし、小声で話をしており内容まではしっかり把握出来なかった。
「気になる?☆」
そりゃあ……気になるよ。
だって、絶対僕の事とか話してるじゃん?
「教えて欲しい?☆」
ギル。
由良の心の中見るの禁止ね。
「えー! つまんない!☆」
ギルには言っておくが、僕は由良が気になっている。
「知ってるよ。昨日好きだって思ってたでしょ?☆」
そうだった……。ギルにはバレてるのだ。
でもまだ、多分の状態だ。
そして確定事項じゃないからこそ気になる。
だから禁止だ。
「は〜い☆」
僕はギルを黙らせてから会話の内容を聞き取れるか頑張ってみた。しばらくすると僕の視線に気付いたのか会話の内容がまた変わったようだった。
僕もまだまだだなぁ。
こんな事では立派な忍者にはなれない。
なる気もないのだが……。
そういえば
今も大の字でのんびりと寝転がっている。
はたから見れば大したものだと思えるような態度かもしれないが、僕からするとこれでも気を使って大人しいほうだった。
そして昔から自分の正義が絶対で曲がった事が嫌いな性格だった。
そんな
お祖父ちゃんが
結婚の挨拶としては、もはや当たり前の問答でもある。
模範解答は『僕が
ここであろうことか
『そんなことは分からん!』
と……。
もちろんお祖父ちゃんは大激怒。
怒り狂いながら『なんだとぉ!!!』と叫んだらしい。
それに被せて
その後大波乱で大変だった事は説明するまでも無いだろう。
要するに、『こっちは幸せにするつもりで結婚するのが大前提だ。そんな当たり前の事は言わなくてもいい。幸せにすると嘘をつくぐらいなら、正直に答えたほうが良いだろう。それに幸せかどうか決めるのは僕じゃない』というわけだ。
先の事は分からない。それにどれだけ頑張っても相手が幸せかどうかは相手にしか分からない。
言いたいことも分かるし確かにそうなのだが……。
是非建前って言葉を教えてあげたい……。
自分に真っ直ぐで正直過ぎるのもどうか。そんなエピソードだ。
そんな僕も建前よりも本音が主導権を握っている為、ちょくちょくトラブルになったりもするが……。
まぁ今こうして僕が存在しているから無事結婚は出来たみたいだ……良しとしよう。
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