第28話 アナザーワールド 14

 さてさてさーてー。

 まず考える事はと……。


 とばっちりの回避だな。


 さっさと離婚すればいいと思うのだが……。


 しないだろうなぁ……。

 月子はは父親ラスボスにぞっこんLOVEだ。まずあり得ない。

 月子ははは亭主関白じゃないとダメらしぃ。

 男らしいのが良いのだと。

 全く理解出来ないが、好みは人それぞれだからしょうがない。

 まぁ、もしも……、もーしーもー、離婚したら絶対に月子ははに着いていくが。


 一度だけ月子ははに聞いた事がある。『なんで離婚しないのか?』と。確か父親ラスボスが酒に飲まれて暴れていた時だ。月子ははがボロくそに言われていたのを寝たフリして聞いていたのだ。怒鳴られて泣いていた可哀想な月子ははを助けたい思いで聞いてみたのだが……。

 月子はは曰く『だってパパの事大好きなんだもん』だ〜と……。

 もしかしたらうちの両親は二人共大馬鹿なのかもしれない。

 まぁ、子供に真顔でそんな事を言うくらいだ。

 離婚説はな〜しと。


 あとは、そうだなぁ。

 家の中が戦争中だと帰りたくないから父上様に謝ってもらうとか?


 いや、それも無理だな。

 いつぞやのお嫁さん事件を思い出す。

 どっちに転んでも修羅場だ。

 もし間違って父親ラスボス月子ははではなく、魔性女さちこが一番。なんて言い出した日には月子ははが殺人犯になりかねない。

 ゲームオーバーだ。


 謝って済む問題ならもう終わってる話だしな。

 やっぱり一か八か問題解決済みに賭けてみるか?


 こぇーよ!

 無理だよ!

 確信が無いとぼくおうちかえれない。

 恐怖で幼児退行ようじたいこうしてしまう。


 ギルさんや。なんとかならんかや?


「出来ない事も無いけど……☆」


 けど?


「チート使って無理やり解決させる。みたいな感じになるよ?☆」


 チート大歓迎。

 すでにチートによって引き起こされている問題だ。

 チートで起こした問題をチートによって解決する。

 完璧じゃないか!?

 それでいこう!

 ヒーンートっ! ちょ〜だい!


「では、心して聞きたまえ! その者赤き衣をまといて紺色こんいろの野に降り立つべし 失われし父との絆を結び ついに人々を青き正常のうちへ導かん☆」


 ギルの声色がおどろおどろしい感じで……って、

 ナウシカ?

 それ大婆様だよね!?

 僕がナウシカ大好きなの知ってて言ってるでしょ?

 それにじゃなくて金色こんじきだし!


「いや、今回は紺色こんいろなの☆」


 あー、そぉー。そぉーなのね。


 あと服が赤色なのね。


 赤色、赤色っと。


 そんな目立つ色の服着てる人居ないぞ……。

 それに紺色の場所なんて見当たらないし……。


 僕は探した。

 赤色の服を……。

 紺色の場所を……。

 授業中も……、給食の時も……、休み時間も……。


 だが、見つからなかった。

 おかしい。

 今までこんな事は無かった。

 むしろ今までのヒントのほうが難しく、しっかり頭を使って考えないと分からなかったのだが……。

 今回は、赤色の服と紺色の場所を探すだけなのだ。

 探すだけならイージーだと思っていたが、なかなか難しい。

 それか、ヒントの意味に間違いがあるとか?


「間違ってないよ! そのままの意味だよ☆」


 なら学校の中じゃなくて、外に出てから出会う誰かとか?

 まさか!? 外で魔性女さちこに出会うとかか??

 それはぼくはちょっとこまるぞ。

 このまましばらくの間、幼児にでもなるかな。


 一対一でラスボスのお供と遭遇エンカウントはお断りしたい。


 だが、ついに学校内で赤色の服と出会うことは無かった。

 正確には赤色の服の人とは何度か出会えた。

 だが、紺色の場所では無かったのでその人達は違う。

 二つのワードが重なり合う。たったこれだけのことがこんなに難しいとは……。


 挨拶を済ませ帰りの会が終わる。

 さちこ。いやだなぁ。

 そんな事を考えていると、誰かに呼び止められた。


若ちゃん先生「光くん。ランドセルとか持ったら職員室へおいで」


 呼び出し?

 

 朝の説教の続きか?


 正直何言われていたか覚えてないぞ……。


 そんな事を思いながら僕は渋々職員室へ向かった。

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