第26話 アナザーワールド 12
ギルー。どうしよう?
誰のせいでこうなったか分かった気がするけど対策無理かも……。
「そうだねぇ〜。もう一度しっかり思い出せる? 昨日のこと☆」
うん。多分今なら思い出せる。
「がんばって!☆」
ギルの声と共に回想に集中する。
昨日の昼食後……。
そう、僕は恐竜ブースに行く予定だった。
誰かの声が聞こえた気がして、辺りを見渡した。
もう一度前を向いた時の違和感。
そして何かに気付いて走り出す。
僕は走った。
見つけたのだ。
この人混みの中で。
この世界の中心に生きるその人を……。
その後一生懸命走ったが見失ってしまった。
でも、間違い無い。後ろ姿しか確認出来なかったがあの姿はあいつだ。
僕は急いで
そして嬉しそうにこう叫んだ。
光「パパいたーー!!」
月子「パパ?? 何言ってるの? 今日は来ないって言ってたでしょ?? 居るわけ無いじゃない」
光「いーーたーーのーー!!!」
僕は
そう
僕は何故か嬉しかった。
居ないはずの場所で
僕は父親が嫌いだ。
性格が合わない。
感情的で、乱暴で、酒癖が悪く、とにかく大嫌いだ!
だが、それと同じくらい好きだった。
理屈ではない。感覚で愛情を感じられた。
そして、『
ただ、教育のやり方が僕に合わなかっただけだ。
ちなみに本気じゃなくてもやられるこっちの身としては死にそうなのだが……。
もちろん普通にかまってもらうことも多々ある。
そして、兄弟の中で年上のせいもあるかもしれないが、僕が一番かまってもらっている事も知っている。
だから矛盾しているが大嫌いで好きなのだ。
そんな好きな
僕は
走りながら辺りを見回して探した……。
そして発見した。
その時、
僕は『僕が見つけたの! すごいでしょ!』と、まるで子犬がボールを取ってきたかのように笑顔で自慢した。
だがその顔は険しく、悲しそうな感じがしていた。
ちょっと待った……。
なんで悲しい??
僕は回想から戻ってギルに問いかけた。
「サア、ナンデダロウネ☆」
誤魔化してる。
僕が何か変な事でも言ったのだろうか?
いや、そんな事はない。
ギル〜?
なんか誤魔化してるけど知ってるでしょ?
僕が原因ではないだろ?
「イヤァ、ドウダロウネ☆」
僕か? 僕が何か変な事でもしたか?
どう考えても変な所は一つもないと思うが……。
「ちょっとばかし間接的に攻撃したかも☆」
僕が? 誰に??
「ら、ラスボス……かな☆」
そんな筈はない!
僕は常に
好きだが、大嫌いでもある。
ラスボスに喧嘩を売る訳がない!
想像してほしい。ロールプレイングゲームをやっていて、出るはずのない場所でラスボスと
居ないはずの場所にラスボスがいる。
しかし、そいつはまだ表の顔しか見せていない為こっちはラスボスだと認識出来ない。
雑魚だと思って戦いを挑むがボコボコにされ負けてしまう。
完全に回避不可の負けシナリオだ。
ゲームには負けシナリオといって、必ず戦いに負けるイベントがある。通常なら勝てない敵にゲームデータを改変するなどチートを使って勝つことは可能だが……。
そして今回は、負けシナリオではない。
戦ってすらいないのだ。
ラスボスと
だが、ラスボスはまだ本性を出していない。
酒も飲んでいないからノーマルモードだ。
だからラスボスは攻撃を一切してこない。
こっちも攻撃はしない。
むしろ今まで一度も攻撃なんてしたこと無い。
負け確バトルなんて回避出来るなら回避したほうが良いに決まっている。
「あのね……☆」
なに?
「チート使って攻撃したかも……☆」
意味が分からない。
僕がチートで
「ソウダネ☆」
はぁぁぁぁ!!!?
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