第18話 アナザーワールド 4

 じゃあ、伝わってるだろ?

 

「協力するよ☆」


 グラッツェ!

 最近読んだ漫画で覚えたてのありがとうを伝えた。


「影響され過ぎw☆」


 いいじゃん! 漫画の主人公っぽくて!

「じゃあ、またね!」


 ギルには取り敢えず帰ってもらったのは良いのだが……、明日の宿題の時にちょっとだけ頑張ってみるかな。


 プランはこうだ。

 ギルに雛の心の中を観てもらって、何か言いたそうだなぁと思ったらすかさず僕がフォローする。雛の考えている事の話題を出して雛に話をさせる。そうすることでいつもより雛は伸び伸びと話が出来るはずだ。完璧だろ!


 その日の夜は特別な夜だったので早い時間に眠りについた。



 翌日、気合を入れていつもの三人で登校する。


 のだが……、


詩織「光君! 雛ばっかりズルい!」


 詩織が怒っている。

 そして僕は怒られている。

 何故だ?

 今日は詩織の主導権を少し控え目にしてもらって、雛を自由に羽ばたかせる予定だったのだが……。


詩織「聞いてる?? なんで二人でデートしてるの?」


 ん? デート??

 詩織さん?

 何をおっしゃっていらっしゃるのでございましょうか??

 頭の中で変な敬語になっている。


詩織「だーかーら! いつも三人で一緒なのに何で私だけ仲間外れなの?」


 詩織が半分泣きかけになっている。

 やばばばばい!?

 久しぶりに頭フル回転。

 仲間外れ??

 そっと雛の顔を見る。


 雛が頑張って口パクで何か教えてくれている。


 お、う、え、ん?


 違うな。


 こ、う、え、ん?


 公園!


 なる。理解した。

 ちょっとばかしピンチかもしれない……。


光「公園のこと?」


 恐る恐る詩織に聞くと、コクンと小さく頷いた。

 一瞬下を向いた為涙が零れそうになる。


 やばい……。


光「あのね、昨日はたまたまで、別に仲間外れとかそんなんじゃなくて」


 必死に言い訳する。

 そもそも仲間外れのつもりが無い為、言い訳でも無く事実報告だ。

 どうしたらいい?

 泣かせない為、仲間外れじゃなくするには……


光「だから、今度は詩織と二人で公園行くよ!」


詩織「ほんと?」


光「ほんと。」


 途端に詩織が満面の笑みになる。

 嘘泣きだったんじゃないのか?

 疑心暗鬼になりつつも、詩織はそんな事を出来るタイプじゃないことを僕は知っていた。

 思った事をバシッと言う。嘘はつかない。

 本当泣ほんとなきだったのだろう。

 取り敢えずピンチは回避出来たみたいだ。


 しかし……、雛、ごめん。

 しばらくは詩織のターンだ。

 ずっと俺のターンならず、

 ずっと詩織のターンかもしれない。

 昨日の決意はすでに半分ほど諦めに変わりそうだった。

 ふと雛に目線を送るとホッとした顔で笑っている。良かった。雛の機嫌も大丈夫そうだ。


 さて今日も一日学校で寝るか。

 そんな事を思いながら学校に辿り着いた。


 だが月曜日はあまり居眠りはしない。

 昨晩早く寝ている為、眠くならない。

 だから特別な日の次の日の授業は起きているのだ。

 日曜日は一週間の中で唯一月子  ははと一緒に寝られる日なのだ。

 その他の曜日は全て仕事の為、月子ははは夜いない。

 特別な日とはその名の通り【特別】なのだ。

 そして、うちは三人兄弟。

 月子ははの隣は左右のどちらかしか空いていない。

 力斗はまだ小さいので隣確定だ。

 優理とどっちが隣で寝るか?

 一週間毎に順番だ。

 実質、月子ははのすぐ隣で寝られるのは二週間に一回……。

 だからちょっとぐらい月子ははと一緒に寝たいと思ってもいいだろ?


 どうするかな。

 たまには授業を聞くのもありかな?

 そう思い、この日は真面目に授業を受けた。

 

 学校は無事終りそして放課後になり……、

 って、いつぞやのお嫁さん事件を思い出すな。

 まぁ、このノリで宿題会に突入するわけだが……。


 結局ギルと昼休み中に打ち合わせして、雛羽ばたき大作戦は実行することにした。


 よし! 頑張るぞ!

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