第27話 謎の施設
【第27話】謎の施設
セラフィーが発動した炎の玉の魔法は、2体のロボットに直撃し、その直後に激しい爆発音が響き渡る。
「前々から思ってたけど魔法っていいな~僕もいつか撃ってみたいな~」
「お前には無理だ」
「なにをぅ!」
「敵も倒せたことですし、調査の続きを……」
バシュ!
「っが!」
倒したと思った瞬間、爆煙の中から伸びたロボットの腕が現れる。
それはセラフィーの首を掴み、そのまま壁まで伸び続け激突させた。
ギギギ!
そのままセラフィーの首を締め付ける。魔法が直撃した1体は機能停止していたが、もう1体はクリーンヒットしていたかったのだろう。まだ生きていたのだ。
「っか……」
『『波動(剛)』』
涼はすぐに反応し【波動(剛)】を放つ。
ロボットの身体に直撃し後方に吹き飛ばすが、伸びた腕が元に戻らない。それどころか締め付ける力が上がっている。
「この!」
イランはがむしゃらに殴りつけているが、びくともせず離す様子はない。
(くそ! このままじゃ……っ!)
【波動(
波動の力を肉体、武器に付着することができる。
何か手はないか。そう思った時だった。頭の中で何かを覚えた声が聞こえる。ステータスを見ると新しい魔法を覚えた。今の涼が出せる最高の攻撃は先ほど放った魔法だ。それが効かなかった今。涼に選択肢はなかった。
『『波動(纏い)』』
新魔法を唱えた瞬間、手に持っている武器と身体の周りに波動のような小さな衝撃波が火花のように舞い始めビュンビュンと風を切る音が鳴り続ける。
涼は手に力を込めると、トップスピードで伸びた腕をめがけて駆け出す。そして……
ザン!
先ほどまでロボットのデタラメの強度によりかすり傷つけられなかった鋼鉄の腕はいとも簡単に真っ二つに叩き斬った。
「ゲホゲホ!」
「離れてろ!」
セラフィーを助け出すことに成功。そして間髪入れずにロボットに近づくと、その勢いのまま横に一閃。
まるで、豆腐を切るかのようにスパッと斬ってしまった。
ロボットは今度こそ動かなくなった。それが分かると、自信の掛かっている魔法を解除する。その強化具合を見て思う。
(これは……使えるな)
新しく覚えた魔法は、自身と武器への強化魔法だった。攻撃の上がり幅は分からないが、少なくとも倍以上には上昇しているだろう。ここ最近感じていた攻撃力不足が目立っていたが、これで解消されたといっても過言ではないほどだ。
「な、なんとかなったね」
「いや……」
ガシャン……ガシャン……
安心するのはまだ早かった。遠くの方で、また先ほどのロボットの足音が聞こえくる。それも1体ではない。複数の足音だった。
「ここを出るぞ。もう外の奴らも居ないだろ」
「涼、言いにくいんだけど……開きません……」
「何がだ……」
「僕たちが入ってきた扉が」
入ってきた扉を押す。しかしイランの言う通り、押そうが引こうが扉はビクともしなかった。
(そういえば入るときも最初開かなかったな……何かトリガーがあるのか? あの時は確か落雷が落ちたんだったか……)
「涼。早くしないとあの変な奴ら来るよ」
「分かってる……仕方ない。別の出口を探すぞ」
「涼さん。こっちに道がありましたよ。ここなら」
隠れられるもしくは逃げられる場所を探している時、セラフィーがグッドなタイミングで、敵が居ない道を見つけてくれた。
そこは、壁や天井が真っ白な廊下のような場所だった。例えるなら病院ような廊下だ。
「何か目がチカチカするんですけど」
「我慢しろ。それともあの場所に帰るか?」
「やめときます……」
「不思議な場所ですね~」
ただ目を輝かせているセラフィー。よっぽどこの建物に興味津々らしい。
「それにしても、どこまで続くのこの廊下……」
「さぁな……」
イランの口から愚痴がこぼれ始める。涼はそんなイランの相手にするのがめんどくさかったので適当な相づちで済ませていた。
「あれ? 何だこのボタン? ポチっとな」
ピー! ピー! ピー!
「な、なんだ!」
イランがボタンを押した直後だった。警報のような音が廊下に響き渡き、身構える。
「あ、ごめん」
突然謝り始めるイラン。急いでその左手を見ると、赤色のボタンを押していた。そしてその上には緊急ボタンという字も……
「シンニュウシャ ハッケン。シンニュウシャ ハッケン」
これだけデカイ音を立てているのだ。当然敵に見つかり背後から敵の足音が聞こえる。こちらに近づいてきていた。
「お前……」
「いや、本当にごめんなさい」
「ここで言い合わないでください」
鳴りやまない警報音。とにかく、この場から離れるために足を動かしているが、敵はすぐそこまで来ている。
「前前! 前からも来てるよ!」
「っ! こっちだ!」
正面を向くと、そこからも増援が来ておりいつの間にか挟まれていた。どうしようかと辺りを見渡すと、横の壁に扉があるのを発見する。涼はすぐその扉を蹴破り、中に入ると、すぐに扉を閉める。
「行った?」
敵は一瞬、扉の前に止まったが涼たちを見失ったのか、足音が遠退いていく。
「ふぅ……」
「いや~助かったね!」
「…………」
「あれ? 涼、顔が怖いよってぎゃあああ!!」
とりあえずこの状況になった原因であるイランの後頭部を剣で刺しておいた。
「ここはどこですかね? 誰かの部屋?」
入った場所には、本や服、ベッドが置いてある。そこには確かに人が住んでいた痕跡があった。
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