第4話
そんな私も、中学校に入った。
中学校に入ったら、性格を変えよう。
そう誓って、入学式を迎えた。
同じクラスになったにんじんやその他の知り合いに声をかけていた時、先生に、着席して待機と言われた。
だが、友達がいなかった私は、初めてあった人に話しかけるような術も忘れてしまったらしく、座って困っていた。
前の席の人が、話しかけてきた時、私は昨日までと全然違う性格に“なりきって”いた。
相手のことを肯定できる、言葉遣いが丁寧な、素直な女子。
私とは真逆だった。
新しい学校で、たくさん知り合いは出来たが、“友達”を名乗ることはしなかった。
相手が友達だと思ってないかもしれないから。と。
そんな感じで過ごしてきた秋のある日、私はにんじんと話していた。
ほんの一瞬だった。にんじんは、さらっと、私に対して「友達」と言ってくれた。
私は信じられなかったが、私も「友達」でいいんだと、クズな私じゃないんだと、気づいた。
……正確には、“クズな私を晒してない”というが。
そうこうしている間、あっという間に入学から1年が経っていた。
その時にはもう、自分と「偽り」の違いがわからなくなっていた。
そして、それが今の“私”だということにした。
そうじゃないと、本当の私はもういないことになってしまうから。
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