【ヤシオリ・ニーズ・ノー・ブッシュ】 #5

一陣の熱い風が、沐辰の頬を撫ぜた。血の匂い。火の匂い。熱いそれが、彼を揺さぶった。「強き、者…」蚩尤の言葉を繰り返す。強さ。強さとは何だろう?蚩尤は、自分の何を見ていたのだろう?わからないことだらけだが、笙鈴はまだ生きている。「急がないと…」沐辰は笙鈴を背負い、剣を掴んだ。 0



流れ出る血が背を濡らす。もはやわずかな猶予もありはしない。「…いや、その前にだ」沐辰は笙鈴を降ろすと、己の上着を裂き、妹の腕を縛った。血が命なら、こうして止めるのは恐らく必要な処置だ。それに至らず先を急ぐなど、自分も余裕を失っている。「…焦るなよ、オレ」再び妹を背負う。 0



…そして、また剣を持とうとしたその時。彼の目の前に、一人の男が歩み出た。瞬間、体がぎくりと固まる。その巨躯。立ち振る舞い。明らかにキマり、目の端からちらちらと炎を漏らしているが、それは俊豪…己の恐怖そのものであった。「…ア?沐辰じゃねえの」俊豪は、獰猛に笑った。 0






「生きてたのかお前」「…お陰様で」沐辰は、睨め上げるように言った。俊豪は、沐辰の言葉に苛立ったように顔を歪めた。「…なんで、テメエがよォ」「…」「なんでテメェがあの爆発から逃げられて、なんで俺が巻き込まれなきゃならねえんだ。アァ?」「日頃の行いじゃねえの?」沐辰は吐き捨てた。 1



「テメエ…」目を剥いて詰め寄る俊豪。沐辰は、真っ直ぐにそれを見返した。不思議な感情が沐辰の胸中にあった。感じたことのないざわめき。最初は彼への恐怖と思ったが、明確に違う。心臓は落ち着き払い、体の中を芯が貫き、巨木めいて地に己を縫い留める。彼には、俊豪が何故か小さく見えた。 2



がなり声は、遥か遠い。卑小で、矮小で、脆い。そのあるじが自分に牙を剥いている。なんと滑稽なことだろう。そのとき沐辰は、己の胸にある感情が『哀れみ』と知った。「…はは」「オラーッ!」沐辰の口元から笑いが零れた瞬間、俊豪は殴り掛かった。沐辰は首を傾け拳を躱し、ハイキックを返した。 3



「ごッ…」よろめいた俊豪から跳び離れる沐辰。背負うた妹と剣を置くと、再び俊豪に相対した。俊豪の目は怒りに燃えていた。燃え上がるそれは、かつての沐辰にとっては確かな恐怖の対象だった。だが、今は。己の中の変化を確かめるように、沐辰は拳を握り、開き、握る。俊豪が跳びかかった。 4



「オラーッ!」放たれるジャンプパンチを、沐辰は円を描くように捌いた。「やあッ!」開かれた道にねじ込まれた拳が、俊豪の巨体をよろめかせた。「おぐ、うッ…」「やあッ!」退こうとした俊豪の爪先を踏み、アッパーカットを見舞う。「グワーッ!」鼻血と炎を撒き散らす俊豪より跳び離れる。 5



「テメエーッ!」身を起こし、吼え猛る俊豪。土煙を舞い上げながら突進する。地が爆ぜる。麻薬によって強化された速度と質量のぶちかまし。沐辰は、敢えてそれを受け止めた。二人の狭間、圧縮された空気が弾け飛び、生まれた衝撃に瓦礫が破砕し宙を舞う。それは沐辰の体をも走り、苛んだ。 6



痛み。重さ。それらは溶けた鉛を流し込んだかのように沐辰の体を縫い留め、かつての記憶を揺り起こした。恐怖という名の記憶は深く、やはり一朝一夕で消えるものではない。だがそれより何より鮮烈に輝き、行く道を照らす記憶があった。((蚩尤の…蚩尤様の攻撃は、もっと痛かったぞ!)) 7



俊豪の体が浮き上がった。「な」「オレの方が…強い…ッ!」沐辰は驚愕する俊豪を天地逆向け、尻餅を突くようにしながら地に叩き付けた。暗黒武術の奥義…パイルドライバー!轟音と共に、地に蜘蛛の巣状のヒビが走った。中心には頭を打たれ、脳漿と共に炎を吐き出す俊豪。彼は、ゆっくりと倒れた。 8



沐辰は立ち上がった。痙攣しながら藻掻き、立ち上がらんと地を掻く、かつての恐怖の対象を見下ろす。そこに、もはや何の感慨も湧いては来なかった。「…あっけないモンだな」沐辰は振り向き、剣を取った。その傍らに、腕を失くし、苦しむ妹。「お待たせ。もうすぐ終わるからな」 9



再び俊豪に向き直った時、彼は既に立ち上がっていた。しかし目からは血と炎を止めどなく流し、零れた脳漿が顔を濡らしている。それが焼け、嫌な臭いが漂っている。「沐辰、どごだぁ~~~~~!ごろひでやるぅ、沐辰~~~~~!」「ここだよ」沐辰は呻く俊豪に剣を振り抜き、首を刎ねた。 10



首がくるくると回りながら飛び、地に落ち砕け、灰になった。残る体は蠢き藻掻き、頭が乗っていた場所から炎を噴き出しながら、何かを探すように歩いていた。沐辰は剣を拭うと、再び笙鈴を背負った。「余計な時間を食った…!」そして再び走り始めた。彼はもはや、俊豪を振り返ることはなかった。 11



────────────────



振り下ろされる触腕を跳び越え、ディーサイドクロウはナイフを揮った。極彩色に亀裂が走り、ゲル状物質を噴き出す。「ハ!ハ!ハ!」哄笑するディーサイドクロウ。更に襲い来る触腕に跳び乗り、サーフィンめいて滑る。その軌跡に沿って斬線が走り、ゲル状物質を撒き散らした。触腕が痛苦に戦慄く。 12



腕についた虫を払い落とすように、別の触腕が薙ぎ払った。擦れ合う極彩色が名状し難き火花を散らす。しかしそれはディーサイドクロウを打つことなく、虚しく空を叩いた。『何…?』ゲル塊の中、困惑する《デンパリキュール》。その時、デンパリキュールの眼前にディーサイドクロウが出現した! 13



「せいやーッ!」『ひいッ!?』デンパリキュールを包む殻的ゲル状物質にナイフを突き立てるディーサイドクロウ!しかしそれは彼の予想を越えて固く、刃を阻む!「ヌウ…!?」訝るディーサイドクロウは、しかし次の瞬間跳び離れた。直後、《デンパリキュール》より幾条もの棘が剣山めいて飛び出す。 14



『ケヒャ!ケヒャ!ケヒャ!』デンパリキュールが笑った。『私に届かない!私を斃せない!お前負け確!負け確!』「なんとまあ」ぼんやりと頭を掻くディーサイドクロウに向け、《デンパリキュール》は4本の触腕を振り上げた!『残念でしたァァまた来世ェェェェッ!』振り下ろされ…地を、砕いた! 15



『ケヒャ!ケヒャ!』極彩色の鎧の中、身悶えして笑うデンパリキュール。立ち上がる土煙に向け、何度も何度も触腕を叩き付ける。『死ね!ディーサイドクロウ!死ねーッ!』連続質量殴打!これでは打たれる者は必死…だが!「狙いが甘すぎるぞ。当たらないストレートは、当たるジャブに劣るぜ」 16



声と共に土煙が払われる。そこには歪に屈折した触腕が折り重なり…そのあわいよりディーサイドクロウが飛び出す!『馬鹿な、どうやって…』「どうやってもクソもあるか。避けたんだよ、普通によ」ディーサイドクロウはキャンディを舐めた。「そしてオマエを斃す算段は付いた」 17



ディーサイドクロウの手の中でナイフが増え広がり、扇となった。それはさらに増え、伸びる。ポニーテールを梳いた手に緩やかに湾曲した棒が現れ、棒と接続し、鎌となった。デンパリキュールが鼻を鳴らす。『ふん、強がりやがって…』「んじゃ、イチから説明してやろうか?弟子にやるみたいによ」 18



『ほざけーッ!』再び触腕の乱舞が始まった。ディーサイドクロウは連続バク転でそれを避け、血涙流るる右目を以て《デンパリキュール》を、その奥に潜む本体を見る。「まずはオマエの能力だ。神経系への介入…コレは間違いない。短期的な記憶の消去、一般人に戦闘者の反射神経を与えたりはコレだ」 19



『それがわかったから何だ…!』「被害者の神経系に過負荷を与え、肉体が溶けるまで発熱させる。その上でそのゲルを操作して身に纏った姿が、いまのオマエだ」ディーサイドクロウは断定した。「そしてオマエはその動かし方に慣れていない。追い詰められてついさっきできるようになった感じか?」 20



『…!』触腕はより強く暴れ狂った。地を切り裂き、瓦礫を砕き、石材の雨を降らせる。ディーサイドクロウはそれを縫いながら、触腕に目を向けた。「触手ッて割には曲がり方が不自然だよな、それ。歪だ。まるで関節があるみたいだ」『く…』デンパリキュールは歯噛みした。『それが…どうしたッ!』 21



「言っただろ?オマエはそれに慣れてないッてよ」目を細めるディーサイドクロウ。鎌を回し、触腕を払う。「オマエ本体付近で1。中程で1。先端付近に4。触手が曲がる個所だ。概ね腕から手の関節と同じだな。腕と同じ動き方にすることで自分の負荷を軽減し、同時操作を可能にしているッてところか」 22



『う…うおおおッ!』8つの触腕が、一斉にディーサイドクロウを向いた。ディーサイドクロウは走り出した。1本目の触腕を潜り、2本目を払う。3、4を跳び越え、滑り、瓦礫を蹴って5、6、7本目を超えた。そして8本目の触腕を、鎌で横薙ぎに突き刺すと、デンパリキュールの背後に回り、捻り上げた! 23



『あッぐぎゃあああッ!?』デンパリキュールが痛苦に叫んだ。「ハ、オマエ自身の神経とも繋がってるのか」嘲笑うディーサイドクロウ。「腕と同じ曲がり方しかできないなら、触手だろうと関節極めたい放題ッてワケだ。戦士ならわかるだろ?関節の極まりが勝負の決まりッてよ」 24



ポニーテールを梳くディーサイドクロウ。その手には、鴉の爪じみた刃が並ぶ、不必要な苦痛を与えることに重きを置いたが如く禍々しき黒い斧が握られていた。「せいやーッ!」SMASH!斧は《デンパリキュール》の極彩色の鎧を裂き、その下のゲルに食い込んだ。『ぎいいやああああッ!?』「ハ!ハ!」 25



何度も執念く斧を叩き付ける。極彩色が弾け、ゲルが潰れ、抉れてゆく。やがてそれはゲルの中に潜むデンパリキュールまで辿り着き…「せいやーッ!」ディーサイドクロウはデンパリキュールの首を掴み、引きずり出した。「よお、久しぶりだな」「ひ…あひ…」「そんなにビビるなよ。傷付くぜ、全く」 26



「な、何なんだよ…」涙を溢すデンパリキュール。「何でこんなひどいこと…私があんたに何したんだよお…」「おれにはしてないな、何も」ディーサイドクロウの声が冷えた。「だがキサマは非道な麻薬を捌き、無知な弱者を利用し、踏み躙った。それだけで、殺すには十分すぎるな」「え…あ…」 27



「キサマのNEWO≪ネオ≫や情報には興味はあるが、NEWOは殺して奪えばいいし、死体から情報を引き出す方法なぞいくらでもある。つまりキサマへの拷問に意味はないし、以上を踏まえておれの要求は最初からひとつだけだ」ディーサイドクロウは、残虐なる鉤手を振り上げた。「苦しんで死ね」 28



そして、振り下ろされた。「せいやアアアアーッ!」鉤爪はデンパリキュールの顔を抉り、首を断ち割った。「あぎいやあああああッ!」「せいやアアアアーッ!」揮われる爪。肉を削ぎ、骨を抉り、神経を削る。「やぶいいいああああああ」「せいやアアアアーッ!」「あッああああぐああああああ」 29



「せいやアアアアーッ!」「やめてやめてやめええああああ」「せいやアアアアーッ!」「ごめんなさいごめんなさいもうしませんやめてお願いです」「せいやアアアアーッ!」「いたいいたいいたいいたいいしんじゃうしんじゃいます本当に」「せいやアアアアーッ!」「いいいぎゃあああああああッ!」 30



「せいやアアアアーッ!」「あぶぶぶあぶあ」「せいやアアアアーッ!」「ぎゅぐ、ぐぼう」「せいやアアアアーッ!」「はぐっ…あぐっ」「せいやアアアアーッ!」「あっあっ…あっ……」「せいやアアアアーッ!」「びゅ…」「せいやアアアアーッ!」「ふぐぅ……」「せいやアアアアーッ!」「……」 31



『Fatal Error』もはや肉の細切れと化したデンパリキュールの懐で、Wi-Fiルーターが鳴った。同時に、残った肉が漆黒のゲル状物質に溶けた。Wi-Fiルーターがべちゃりと音を立て黒の中に落ちる。民衆ゲル状物質もまた蕩け、地にわだかまった。ディーサイドクロウは目を細め、軽く手を合わせた。 32



彼より出でた黒い斧と鎌が、黒い稲妻と共に消えた。ディーサイドクロウの放つWi-Fiも消え、後には静寂が残る。彼はデンパリキュールが遺したWi-Fiを拾い上げると、纏わりつく黒いゲルと共に、ジップ付のビニールに入れた。「死体の方も、これだけありゃ十分だろ…そう思わねえか、少年!」 33



ディーサイドクロウは背後の物陰に向かって声を掛けた。数秒の後、そこから一人の少年が現れる。ディーサイドクロウはやんごとなき気配放つ剣と少女を背負うた彼を見、ニヤリと笑った。「誰かと思えば沐辰じゃねえか。息災で何よりだ、ヒヒヒ」「…」沐辰は答えず、少女と剣を降ろした。 34



「ん…?」「あんたに、医術の心得があると聞いた」沐辰は、穢れの中に跪いた。ディーサイドクロウは、少女──右腕がない──と剣に目を走らせた。沐辰に視線を戻した時、彼は既に額を地に着けていた。「この剣をあんたに渡す。だから、笙鈴を…妹を助けてくれ。お願いだ」「…ンー」 35



ディーサイドクロウはぼんやりと頭を掻いた。「いくつか忠告しておくが…」「頼む。オレにできることは何でもする」「なら話を聞けや。まず一つ。物の価値はしっかり見極めろ。その剣、オマエの…ええと、妹さんか。妹さん三万人分くらいの金銭的価値があるぞ」「え、そんなに…」 36



目を瞬かせる沐辰。ディーサイドクロウは続ける。「二つ目。おれはオマエより強いんだ。そんな相手にカードをみだりに見せびらかすな。オマエを殺して奪ってもいいんだぜ、それ」「…いや」沐辰は首を振った。「やらないよ、アンタは」「なんでそんなに信用できる?」 37



「アンタは、ケチなスリのオレを大した理由もなく助けてくれた。だから」「理由になってねえな」ディーサイドクロウは剣を拾い、笙鈴を抱えた。「何してんだ」「えっ?」「さっさと立てよ。こんなところで処置できるわけねえだろうが」「じゃあ」「助けてやっから来いッての。置いてくぞ」 38



「あ、ああ!」バネ仕掛けめいて跳ね起きる沐辰。大股で歩くディーサイドクロウに、小走りで追い縋る。「ありがとう…ありがとう!」「ビジネスだろ」ディーサイドクロウは呆れた。黒い穢れに足跡が残る。それは炎の光と闇を横切り、やがてどこか、スラムの外へと消えて行った。 39



───────────────



暗黒電脳教会とオロチの接触に、然したる理由は存在しなかった。事を起こさんとするマクシーム ルキーチ ソコロフが戦力を求め、ただその結果に過ぎない。当然ながらオロチは拒否したが、デンパリキュールの神経干渉により酩酊状態に陥れられ、NEWO≪ネオ≫能力をコピーする羽目になった。 40



その際、デンパリキュールとオロチは、ある取引を交わしていた。その内容は、カネ。数十億に渡る旧円が、教会からオロチに渡っていたのだ。ディーサイドクロウは、ここに不自然を見た。数十億程度のカネは、オロチの能力ならば稼ぐことは十二分に可能。このような取引に応じる理由とは? 41



「…絶対終末要塞ラリエー、か」彼はそう結論した。かつて見た未来によってラリエーの名と結末は知れど、詳細は知らぬ。そこにカネが消えた可能性が高い。これは恐らく、いずれラリエーと相対する篠田 明日香にとって必要な情報だ。恐らくNEWOもだ。奇しくも、大蛇を斃す八塩折を手に入れた形だ。 42



ディーサイドクロウは車のギアを上げた。助手席に置かれた剣が揺れる。町田を背に、ピックアップトラックが南下する。郊外に横たわるアスファルトの亀裂を避け、ライトで闇を切り裂きながら、車は走る。どこか遠くで、何とも知れぬ怪物の咆哮が聞こえた。 43



──────────────



町田西部スラムの消滅から一週間が過ぎた。力の都市。武の都。弱者の棲み処が消えたことに注意を払う者は少ない。そこに理由を求める者も少なく、故に知る者も少ない。王たる蚩尤の鉄槌が堕ちたこと、その理由。それこそが、近く町田を揺るがすことになると。だが、それはいま語るべき話ではない。 44



沐辰と笙鈴は用心棒に別れを告げ、歩き出した。蚩尤キャッスル町田はすぐそこだ。だからこそ、油断はできない。どこに物盗りが潜んでいるか、わかったものではないのだ。「笙鈴、大丈夫か?」沐辰が妹の体を案じた。「あんな大怪我したんだ、無理するなよ」「平気だよ、兄ちゃん」 45



笙鈴は笑った。彼女には断たれた筈の右腕があり…しかし注意深く見れば、それはただ外見を補綴するだけの簡素な義手であることに気付くだろう。そこまでが、ディーサイドクロウのサービスであった。「目的地はもうすぐだし。そこまで行ったら、ちょっとは休めるでしょ」「そうかなあ」 46



ぼんやりと否定する沐辰。彼の手にはボストンバッグがあった。バッグには、治療費の釣銭として渡された多額のカネが入っていた。彼らはその中から用心棒の代金を捻出し、蚩尤キャッスル町田に足を向けたのだ。「まあそれでも300万S¥は残ってるし、休むくらいはできるか。大丈夫か、きっと」 47



「バカ!あんまりそういうこと言うと…」慌てる笙鈴の懸念を嘲笑うように、物陰から次々と人間が現れる。彼らは皆、手に手にナイフや刀、トンファー、ヌンチャクを持つ。強盗であった。「あーあ、言わんこっちゃない」笙鈴が肩を落とした。「ヘヘヘ、言うまでもないよなあ、俺たちの欲しいもの!」 48



先頭に立つ逆モヒカンがナイフを舐めた。沐辰は首を傾げた。「いやあ、オレ頭悪いからよくわかんねえや。アンタらのいらないものならわかるけど」「へえ?言ってみな」「命」「……ア?」空気が殺気に凝った。沐辰はバッグを置くと、ニヤリと笑った。そして、矢のように飛び掛かった! 49






探偵粛清アスカ

【ヤシオリ・ニーズ・ノー・ブッシュ】

おわり

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