ひつじの皮を被った狼みたいな作品

突然ミステリを書き始める彼女。小説など書いたことがないのにと戸惑いながらも温かく見守る彼氏。
だが彼女は突然書けなくなる。
何故唐突に小説を書き始めたのかが明かされて──。
ねこ探偵という可愛らしいワードなのにいきなり冒頭は懐かしめのハードボイルド。ちょっとおかしげなワールドが始まるのかと思いきや実は小説の世界。
楽しげに書き始める彼女だが内容が徐々に不穏さを増していく。
その理由こそ昨今の社会の根底に巣食う事象であり深い問題だ。しかも周囲の人間にも影響を及ぼす。
この可愛らしいカップルはどうやってそれを乗り越えてゆくのか。と書くと重たいがその乗り越え方こそ今の若者らしいと思った。
サラッと読めてしまうがよく考えるとなかなかに骨太な話である。