Ep003 急襲
飛翔した僕は先生が倒すように指示した龍が向かった先を目視で確認する。
しかし流石に龍は速く、確認する頃には遠くの方で着地の体勢に入っていた。
(なんか獲物でも見つかったのかな?急に降りるなんてどうしたんだろう?)
そんな疑問が残る中、空を飛んで龍を追う。
そしていまちょうど何かを攻撃しようとしている龍の尾の真上に移動するとそのまま急降下し、尻尾を攻撃した。
「ゔぉぉぉぉぉおおおおぅぅぅぅ!!」
龍は怒るままにこちらに振り向き、突進してきた。
僕は瞬時に横に飛び突進を交わす。そしてすれ違いざまに龍の足に蹴りを当てる。
龍はそれだけで軽く蹌踉めいてしまった。
(これは難しくなさそうだな。銃も使う必要は無さそうだ)
そう思った直後、龍は口を大きく開き
僕は後ろに居た人を抱え瞬時に後ろに飛び去る。吐息が当たってしまった木はすぐに腐食が始まり、あっという間に朽ちてしまった。
(危なかったなぁ...すぐに倒さないと)
直後、僕は龍が大きな爪の伸びている前足を繰り出したタイミングを見計らい、前足を反撃で振り払うと、龍の顎、腹、翼、頭と高速で移動しながら破壊していった。
「ゔぉがああぁぁぁ......」
龍は持ち前の再生力で再生するも、やはり破壊されたところは完全に修復できはしないのか所々傷ついたままになっていた。
(やっぱり不死性を倒すのはこれしかないか)
若干緩んでしまった気を引き締め直し、一つの技を使う。
身体能力を瞬発的に強化し、拳にエネルギーを集中させると拳は仄かに銀に光りだした。
そのまま龍の胸に拳を叩き込んでやると、とんでもない衝撃が龍の中に伝わり、0.5秒後に龍はボロボロと全身が崩壊していった。
(終わったか。やっぱりしぶとかったな...)
「え?小宮くん?」
声が聞こえることは想定していたが、想像とは全く異なる声が響き、反射的に後ろを向く。
...桜木さんだった。
数秒もしないうちに辺りに広がっていた霧は晴れ、月が無い星空が戻ってきた。
「ありがとう...けど、なんで戦ってたの?」
いきなり核心にせまる質問をしてきた。先生に試練だと言われ、と答えようとしたが以前先生に
「俺のことは他の誰にもバラすなよ?もし破れば修行は二度とやらんぞ」
ととんでもなく低い声で脅されたのを思い出し、
「力を付けとかないとと思って。」と返した。更に
「逆になんでこの時間帯に外に?」と聞き返した。
既に時間は22時半を回っていて、外出している方が違和感があったからだ。
すると
「似たような理由だよ。体力つけないとって思って。」と返された。
正直桜木さんの答えの真意は分からなかったが、こちらも似たような回答をしたため特に掘り下げるようなことはしなかった。
その後時間的にも帰った方がいいだろう、ということで軽く挨拶を交わし桜木さんが去るのを見送り、自分も修行場に戻った。
「桜木って奴は超能力の教育プログラムがあるところを目指すようだな」
先生は戻るや否や突拍子もないことを言ってきた。
「そうなんですか?」
「あの時間に外出しておいて『似たような理由』と返した辺り確定だろうな」
「はぁ」
「で、進路の話だが小宮はどうするんだ?」
...桜木さんは学力も非常に高い。恐らく天川学園に通うこともできるんだろう。
狭き門であること、自分には途方もなく高い壁であることはわかっているが、僕も目指してみたい。
「天川学園を目指します。自分には厳しいかもしれませんが___________」
「...今の小宮なら余裕で合格できると思うぞ?まあ頑張れ」
(余裕...?)
「...はい!」
先生が発した言葉をとくに気にすることもなく、自分を肯定してくれた先生に感謝した。
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