Ep002 不死性の怪物

「発生地は市の中心部、だったよな?」

「そのはずですけど...」

 僕らは当たりを見渡せる中心部より1km程離れた小高い丘へとやってきていたのだが...

「ゔぉぉぉぉ...」

「あ゛ーーーー」

 ドゴォン!

「なんで不死性の怪物バケモノどもがこんなとこまでいんだ?」

 拳一発でその怪物バケモノを十数体巻き込みながら先生が疑問を呈す。

「ゔうううううう!!」

 ドシャァァ!

「情報が古かったのでは?」

 僕も負けじと近くにいたひときわ大きい怪物バケモノを吹き飛ばしながらそう返す。


「まあそれもあるが...もう一つの可能性としてこの近辺に比較的強ぇ怪物バケモノが出た、ってのもあり得なくはねぇな...ってうるせぇなさっきっからよぉ!」

 辺りの怪物バケモノが多すぎて先生がキレた。瞬き一つする間に辺りの不死性の奴らが粉砕されていた。しかも一本の道を作るように。

「行くぞ。多分原因はそっちだ」

 先生は市の中心の真反対を指差し、悠々と進んでいく。

 辺りの不死性の怪物バケモノが宙に舞っていきながら。

 20分ほど歩いた後...

「...いるな」

「え?」

「黙ってろ。それと身を隠せ」

 突然警戒し始めた先生に倣い、自分も身を隠す。すると


「ゔぅぅぅ...ゔぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ..........!!!」


 という大きな雄叫びが聞こえ、頭上にがいることを察した。

 身を隠しながらそのデカいものの正体を見れば...

「不死性龍型...」

「北の方に向かったな...参ったな。あっちは市街地じゃねーか」

「マズイですね...」

「いや、却ってちょうどいいかもしれん」

「へ?」

 先生は不敵に口角を上げながら僕に向かって信じられない言葉を言ってのけた。

「小宮。あの龍を被害が出る前に殺しとけ。オマエの力量を測ってやる」

「相手空飛んでるんですけど...」

「なんとかしな」

「えぇ...」

 先生はこちらの反論を叩き潰した直後空高くに浮き上がり、どうやら完全に傍観者として振る舞うようだ。

 しかし何もしないわけにはいかないため、僕も浮き上がり不死性の龍を追走した。


____________________________________________________________________


遡ること数十分前...

桜田優衣は非常に反省していた。

(やっちゃった...ただの計算ミスで8点も...負けた...)

テストの解き直しを進めれば進めるほど、ため息は大きくなっていく。

(変な勝負持ちかけたせいで...うう...)

「負けた方はジュースを奢る」という至極小さな賭け事をしただけだったのだが、本人の負けず嫌いな癖が彼女を傷付けていた。

(...音楽聴こ。)

そしてヘッドフォンを付けしばらく音楽を聴いていた。


数分後...


(どうせならちょっと走ろうかな。体力つけないとだし...)

天川学園への入学を密かに目指し始めた彼女はそう思い立ち、近所の大きな公園に移動し走り始めた。その場には人がやけに少なかったが特に気にするでもなく、今の状況に危機感を感じてはいなかった。

「ゔぅぅぅ...ゔぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ..........!!!」

(何!?)

反射的に身体が強張る。すぐに辺りに霧が充満し始める。

(もしかして警報鳴ってた!?)

そう思った直後、凄まじい衝撃とともに背後に怪物バケモノが現れた。

振り向いた直後、彼女は身がすくんでしまった。

居たのは、不死性の龍型怪物だった。

(え...?)

割れんばかりに心臓は鼓動する。だが、身体は意志に応じない。

龍が自分に向かって突撃してきた。


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