第2話 花の城
私の部屋は花で埋め尽くされています。狭いワンルームですが、机や棚は勿論、フローリングにも大小様々な花器を置いています。ベッド以外の床は、ほとんど花で覆われています。
公園で見つけたシロツメクサを、何気なくガラスコップに入れたのが始まりでした。その細い茎に小さな泡がくっついているのを発見した時に、花は呼吸するのだと、私は改めて気付きました。小ぶりのガラスコップの中でも、花が生きているという事実が、人間関係に疲れた私を、孤独から少し救ってくれたのです。
それからというもの、私は会社でいじめられ、彼氏と喧嘩し、友達にマウントをとられる度に、花を買うようになりました。毎日全ての花瓶を洗い、水を入れ替え、茎を拭くことが私の日課になりました。数が増えると手入れに割く時間も比例して増えましたが、私は苦に思いませんでした。花の世話をしている時間が、私のすり減った神経を癒やしてくれるのです。色とりどりの花に囲まれ、まるで棺桶の中の死人のように眠る時だけ、私の心は安らぎを手に入れられます。
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