第17話

 数日後、俺はライラとまだ解放されていない第3の街トレアを目指してフィールドを歩いていた。雑魚モンスターはサクサクと槍で倒していく。

 結局あの日は彼女に会えなかったが、竜祭が何なのかを知ることができた。


「この前会えない時何してたんだ?マップ上にも見つけられなかったんだが。」


「あの時はクエストに巻き込まれてましたね。ちょっと大変でした……。」


そう言うと彼女は遠い目をして銀髪をかきあげる。苦々しい表情から、相当面倒なことだったらしい。


「ジン、私竜祭に参加しなければならないかもしれません。」


「あれ、お前魔族じゃなくて竜だっけ。」


「いや魔族ですよ…。なんか竜祭って竜に対する試練って話を聞きまして、私が試練をしないといけないらしいです。」


「さっき言ってたクエスト絡みか。」


「えぇ、察しが早くてたすかります。あの日私は龍に会っていました。というかデュオル近辺を散策していたら天龍とかいうのに絡まれました。手持ちの武器と《ウェポン・クリエイト》の魔力が無くなるまで戦っていたら気に入られまして……。」


 ん?突然絡まれた龍に手持ちの武器が無くなるまで応戦したら気に入られた?その流れ見たことあるぞ…。チラッとライラの腕があるか確認する。


「竜祭にて竜をボコボコにして鼻っ柱を折ってくれと言われました。」


 あれー?俺と流れが違う。そこは左腕噛み切られるパターンじゃないの。


「竜祭の試練ってそんなにフィジカルで戦う感じなのか?」


「詳しいことは何も分かりません、またその時が来ればと言って天龍は去っていきました。」


「あいつら好き勝手過ぎる。」


「まったくです。というかあいつら…?ジンもですか?」


「あぁ、ちゃんと話してなかったか。俺の左腕は冥龍とかいうやつに噛み切られたんだよ。お前と会う前に。しかも似たようなシチュエーションで絡まれてな。」


「すごい偶然もあるものです。ジンは竜祭の話を知っていたようですが、冥龍に試練の話を聞いたんですか?」


「いや、冥龍はまた会おうとしか言ってなかったな。今度は本気で戦いたいとか。竜祭の話は居酒屋でおっちゃんに聞いた。」


 ライラは心なしか残念な顔をしている。


「じゃあ仕方ありませんね…。今回は私一人で頑張ってきます。」


「おう、まぁストーリーに関わることなら俺たちにも配信されるだろうから、お前の勇姿をしかと見とくよ。」


 この時はそう思ってたよ本当に。おかしいなとは思ってたんだよ、称号龍の友があって竜祭に無関係でいられるわけなかった。

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