作品の中の一文で、「ヒーローは地面が要らない靴底を磨り減らすため僕らは生きる」がある。お気に入りだ。著者との感じ方に違いがあれば、それは私のせいなのだが、この「ヒーローは地面が要らない靴底を磨り減らす」は、私たちにとってのヒーローは空想上のものだが、いつだって支えになるため、靴底を磨り減らしている。そう見た。「僕らは生きる」のだ。軽快な文から始まって、悩み、世をはかなむ。少し不思議な散文詩である。