第2話【血統】
ぼく達は馬車で移動していたんだけど...。
すごい豪華で綺麗な馬車だこんなの貴族が
乗ってる物と同じだと思うあんまりよく見たこと
ないけど...。
「ごほ...ごほ...」
「大丈夫?最近風邪が流行ってるもんね」
「おい...喉風邪を...」
狼の騎士が騎士がテルに手を伸ばした。
「この子に触らないで」
ぼくは睨みつけた。
「いや、ただ...」
ぼくは無視して薬を用意していた。
テルはペコペコ狼の騎士に頭を下げてる。
「はいコレちょっと待ってて」
ぼくは水筒を出した。
「飲んで」
テルに薬と水筒を渡して飲ませた。
「その薬...まさか自分で作ったのか?」
「答えたくない」
ぼくは荷物の袋から何かないか探した。
「薬を飲んだから何か食べないと...」
「それなら...」
何か小さい箱を取り出した。
「自分たち、兵士や騎士たち専用の携帯食料だ」
それをテルに渡そうとした。
「待って」
ぼくは携帯食料を手に持った。
カリッ
ぼくは携帯食料を箱から出して先っぽをかじった。
「何も入ってないね」
ぼくはテルに渡した。
「毒なんて混ぜてないよ」
「それじゃあ眠らせる薬とか?」
「しきぃ...」
少しテルがムスッとした顔をしている。
「だって...」
「いいんだ、怖い思いをさせたのは事実だ」
ぼくはふと思った...そういえば...。
「ねぇ、なんで連れてきたの?そもそも
あの水晶玉はぼくが手に持ったら光ったけど
何か意味があるの?」
「私の口から説明するより元老院たちから
聞いた方が早い」
えっ?元老院...。
ガタンッ
急に馬車が止まった。
コンコン
「到着しましたよ」
「わかった、少し待ってろ」
到着って...いったい何処に着いたんだ?。
ガチャッ
「さぁ、気をつけて」
「それじゃあ、テル...よいしょ!」
ぼくはテルを抱き締めながら歩いた。
テルは恥ずかしそうにしていた。
「この子あんまり歩けないの」
「手を貸そうか?」
ぼくは無言でそのまま歩いた。
「参ったな...気に入られるように頑張るよ...」
悪い人じゃないのはわかってる...だけど、ぼくも好きで疑ってる訳じゃない。
「すごい、大きなお城...」
目の前に見たこともないような大きな門まである。
ギィイイイイイ
扉が開く音もやっぱり大きい。
「おお、よく戻ってきてくれた!」
「元老院の方々すみません...急ぎだったので...帰宅の連絡をする暇がなく...」
元老院?このおじさんたちの事かな?。
「いいんだ、それで探してた二人は?」
「それが...もう亡くなっていました...」
おじさんたちは絶望したような表情になった。
「そんな!頼みの綱はその二人だったのに!」
「四大国の王家の血がこれで...」
「いないのか!薄くても血の繋がりが...」
「待ってください!」
急に狼の騎士が叫んだ。
「確かにその二人は私が尋ねた時にはすでに亡くなっていました」
すると袋から協会で渡してきた水晶玉を出していきなり手に持たされた。
ファアアアアアン
「この輝きはまさか...」
「そうです、四大国分の血です」
「ちょっと待ってよ!」
ぼくはずっと置いてきぼりにされてとうとう我慢の限界だった。
テルも状況に着いていけなくて目が点々になってる。
「ぼくとテルに説明してよ!」
「ああ、すまない!」
「それでは...」
おじさんの一人がぼくとテルに近づいてきた。
「実は四大国の王家のことはご存知ですよね?」
「うん、東西南北のそれぞれの一番偉い人たちのことでしょ?」
他にも王族はいるけどそれぞれの国を守ってるのはその四つの王家らしい。
「ですが...その王家の血が途絶えてしまったのです...」
途絶えた?。
「最近になってやっと平和がやってきましたが四つの国は戦争していたのです」
狼の騎士の人が口を開いた。
「戦争をしてきた天罰なのか呪いなのかそれか誰かが意図的にしたのかわからないが
次々と病や事故で亡くなってしまったんだ」
「みぃんな...いない?...」
思わずテルが問いかけた。
「ええ、君の言う通りですよ」
おじさんが話しを続けた。
「子供のあなた達にこんな話は聞かせたくないのですが血を受け継いだ者を探していたのです」
「もしかして...遊んで子供を残してないかってこと?...」
「ええ...頭のいい子だ」
何か嫌な部分を聞いた気がする。
「ですが、噂を聞いたのですよ戦争する我が国や自分の王家に愛想をつかして出ていってしまった王女と王子がまだ生きてると」
出ていった王子と王女?。
「東は南と結ばれて北は西と結ばれた」
そんな偶然あるんだ。
「そして、その間に産まれた子供同士が偶然出会ったのです」
「その人たちに会えばいいじゃん」
狼の騎士の人が暗い表情になった。
「なんとか苦労して見つけたが...既に墓の前で眠りについていた...」
狼の騎士さんは話しを続けた。
「その時は絶望したがその管理していた老人に聞いたんだこの二人の間には子供がいたんだ」
えっ...ちょっと待って...。
「もしかして...ぼくの事?」
「そうです!あなたです!」
おじさんたちは急に慌てた様子になった。
「もう!あなたしかいないのです!」
「国のためにどうか!王座についてください!」
「ちょっと待ってよ!!」
なんだか、いろんな事がいきなりすぎて頭がこんがらがってきた。
「しきぃ...おひめさぁま?...」
「待って!そんなのなりたくないよ!」
ぼくは即答した。
「探せば血縁の人がいるかも知れないよ!わざわざぼくを王様にしなくても?!...」
「いいえ!もう後がないのです!」
「お願いです、何不自由ない暮らしをさせてあげますので」
「国の仕事は我々に任せて下さい、ただあなたには王家をついでくれるだけで
いいのですよ」
そう言われても...。
「しきぃ...」
テルはぼくの事を見つめてきた。
「やだ!テルもそんな目で見ないで!可哀想だと思うけどいきなりはいそうですかって
言えるわけないでしょ!」
ぼくはテルの手を引っ張った。
「ほら行こうよ!二人だけで暮らそうよ!」
「待ってくれ!」
狼の騎士の人が走ってきた。
「何さ...ええと...」
「バンだ呼び方は君たちの自由にしてくれ。余計なお世話かも知れないが
子供だけで暮らしていけるのか?」
心配して言ってるんだろうけど...。
「関係ないでしょ!」
「しきぃ...」
テルが不安定がってる。
「大丈夫だよ何も心配すること無いから」
「しっ...ゴホゴホ...」
テルは咳き込んだ後ふらついてぼくにもたれ掛かった。
「ねぇ!大丈夫?!」
「ゴホゴホ...」
「おい!今すぐ軍医の所に運ぶんだ!その方が早い!」
ファアアアア
ぼくは手のひらから光を宿した。
「大丈夫だよ」
ぼくはテルの体を魔法で治した。
「これは...治療魔法?!...」
テルの呼吸が安定してきた。
「もぉおだいじょおぉぶ...」
テルはニコッと笑ってぼくを安心させようとしてくれた。
「ゴメンよ...無理させて...」
ぼくのせいだ...慣れない場所につれてきて体調の調子も悪いのに。
「ゴメンよ...」
ぼくは自然と涙が出てきた。
「なぁ、大丈夫か?...」
騎士のバンって人が手を伸ばしてきた。
パシッ
それをぼくは叩いた。
「近寄らないでよ!そもそも何なのいきなり?!ぼくたちのことはほっといてよ!」
ぼくは泣きながらテルを抱き締めた。
コンコンッ
「入るぞ」
キィイイイイ
「なにか必要な物は他にないか?」
バンさんは水の入ったグラスを小さいテーブルに置いた。
「いいよ、これがあるから」
ガブッシャリシャリッ
ぼくとテルはピクルスを食べていた。
「しきぃ...もぅだぁいじぉぶ...」
「いいから、食べてそれにぼくがいなかったら治療魔法で体治せないよ」
心配でたまらない...ぼくがいないときにもしテルが倒れたら...。
「なにか体力の着く食べ物を持って来ようか?」
「いらないよ」
ぼくは素っ気なく答えた。
「ぼくが用意した食べ物以外は口に入れたらダメだよ」
少し、テルは眠そうにしている。
「さっきの薬の効果が出てきたのかな?少し眠って」
ぼくはテルをベッドに寝かせた。
「何かあったら言ってね」
ちゅっ
テルはぼくのほっぺにキスしてそのまま眠りについた。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう...」
ぼくは少し申し訳ないと思った。
「色々ゴメン...バンさんは優しくしてくれたのに...あんな態度ばっかりして...」
「いや、寧ろ悪いのはこっちだそれに関係ないけど呼び捨てで大丈夫だ」
笑ってぼくの方を見た。
「ありがとう、バン」
バンはぼくの肩に手を置いた。
「後は私の部隊の軍医がみてくれる君も少し休め」
「やだ、そばにいる...」
ぼくはベッドに顔をうずくめた。
「心配なのは分かってるだけど休んだ方がいいこの子のためにも」
ぼくはテルの寝顔を見た。
「うん...その前にキッチンある?」
「どうしてだ?」
ぼくは立ち上がって背伸びをして気合いを入れた。
「ううううん!ちょっね!」
「ええと...これとこれを...」
ぼくはバンにキッチンに案内してもらってカバンの材料をだした。
「どうしたんだ?」
「あなたの言う通りぼくも倒れたらまずいから」
ボォオオオン
魔法コンロに火をつけて色々薬草を鍋の中に入れた。
「薬草のお茶でも飲もうと思ってね」
バンは少し驚いていた。
「すごいな、治療魔法は医学の知識がないと使えないし薬学にも強いなんて」
「まぁね、勉強は嫌いじゃなし」
ぼくはバンに話しかけた。
「いいよ聞いても色々」
「それじゃあ...あのお金はどうしたんだ?二人だけで生きていくって言っていたが?」
ぼくはカバンの中を見せた。
中には色んな薬品から金属を作るための鉱石が少しと布とか色々入ってる。
「ぼくは錬金術が得意で色々作って旅してる人たちに売ったりしてたの」
ぼくはコップにお茶を入れた。
「ふーふー...それでお金を貯めてテルと二人で知らない所で暮らそうと思ったの
テルも一緒についてきてくれるって言ってくれたし。すぅううう...」
ぼくはお茶をすすった。
「そんなに大事なんだな...」
「うん...ぼくの一部...」
自然と笑みがこぼれる。
「なぁ、出ていこうとするな...」
「はぁ...あなたはいい人だし感謝してる...だけどテルが元気になったら出ていくら
この話しはこれでおしまい」
ぼくはそのままお茶をテルの部屋に持って行こうとした。
「そんな、かんたんな状況じゃないんだ」
「それでもぼくは静かに暮らしたい」
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