第33話

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 何か、僕がスゲーっ!みたいな……、暴力団を優君と二人で潰したとかいう噂をしている奴が居るらしいねんやけど、無いわ、そんなの。アニメや漫画の見過ぎや!


 まぁ、道場のOBが暴力団組長のボディーガードや、警察のマル暴に居てるという話を聞いた事はあるし、OBが時々来て乱取り、組手、模擬戦をするという事はあるけどね。


 師匠が、僕を道場の将来の跡取り候補として育ててるいうのはホンマらしいけど。




「神川いう男子と火花散らしとったみたいやけど、大丈夫か?」


帰り道、優君が早速、神川何某の話題を振ってきた。


「大丈夫か?言いながら、全然心配しとらん様子やん? 神川って、あれやな、この辺の元締めと同じ名前やな?」


「その神川やろな……」


優君は笑いを隠しながら答えた。口元が笑ってら……。


「時々、おやっさんが来はるよな……。鈍るといかんでな……言うて、組手をさせられる。俺は負けへんねんやけど、元不良さん達は、まだまだ勝てへんみたいやったな……。若造には負けへん!言うとる。俺には負けとるが」


「そのおやっさんの倅やろ、あいつは」


「倅って、おやじみたいな言葉使いよるな、優君」


「凌より年上やからな」


優君が偉そうに胸を張る。


「言うても3ヶ月程やけどな」


文音ちゃんがツッコミを入れた。


「細かい事はええやろ? まぁ、おやっさんは聡いから、自分たちに恥かかさせる様な事させへんやろう、と思うけどな。次期眞白道場後継者候補とはいえ、組員達が中学生に負けたとあっては、元締めとして立つ瀬が無くなってまうやろうからな」


「息子も聡い、とは限らんけどな」


僕達は、クラスでの様子から、無いな……とため息つきながら帰宅を進めた。




「仕掛けて来たら、そん時はやるだけや。日本国憲法9条みたいな、専守防衛じゃあ、結局、護れるものも護れへんからな。だけど、あいつから仕掛けて来へんのやったら、俺も闘わんで済むから有り難いんやけどな……」




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