第28話

「今日はホワイトデーやで、優君」


「ほやな……」


「優君……、素直に言うたってや……」


「わかっとるって」


僕達は帰り道で話している。


「わかっとるならええで」


「ああ、俺も軟派だか硬派だか、の半端者は卒業せなあかん、思うとるからな」


優君は決意を滲ませた表情で語った。


「明日は隕石でも降って来るんちゃうか?」


僕はちょっと優君を茶化した。


「まあ、ほやな……。降って来るかもな……。それ位、俺は、人生でも数少ない位、真剣に考えとるっちゅう事や」


「期待しとるで! それにな……、小明ちゃんも文音ちゃんも明日は卒業式や。つまりは、また同じ学校に通うっちゅう事やな」


「ほやったな……。それ、忘れとったな……」




「小明ちゃん、明日は卒業式やね!」


今日はホワイトデーやで!って朝から思っていて、卒業式の予行があったのに、すっかり忘れていた。


「ほやったね……。まあ、でも、中学校も、大体、皆、一緒やん? 6年学んだ、この校舎を離れる、っちゅうのは寂しい事やけど、新しい出逢いもあるやろ? 因みに、文音ちゃんは優君と……」


「小明ちゃん、続きは言わんでええよ? 言わんとしとる事はわかるさかい」


毎日、同じ学校に通えるやん?って言おうとした途中で遮られた。


「ほやったらええやん。私も、凌君とまた同じ学校に通えるから嬉しいねん!」


私は笑顔で文音ちゃんに答えた。


「そうなんや。私も、優君と同じ学校に通えるの、嬉しいって思うとるねん」


文音ちゃんは、ちょっともじもじしながら答えた。文音ちゃんも、ホンマ、素直やないんやから……。お互い、大変そうやね……。凌君が言うてたわ……、優君も文音ちゃんもお互いに素直やなくて、素直やないやり取り見て笑えるわ~って……。


「小明ちゃん、笑うとるけどな、あんた等かて素直やないんや言う事わかっとるか?って話やで?」


ちょっとにやにやしとったみたいや……。文音ちゃんに突っ込まれてしもうたわ……。


「そうかな……? 自分ではよう気付かんもんやね……」


私は苦笑してしもうた。




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