第27話

「バレンタインが終わったら、ひな祭りやで? 優君」


2月も終わりに近づいた頃、優君に話を振った。


「ほやな……。文音ん家も、雛壇飾りやっとったな……」


優君は苦々しく答えた。


「ん……? 優君、何か悪い事あったん?」


僕は尋ねた。


「毎年の事やねんけど、雛壇出して飾るの、ほとんど俺やねん。序でに片付けもや!」


優君は、納得行かないっていう感じで答えた。


「それは確かに大変やな……。小明ん家は、男子禁制で、うちのオカンが駆り出されてくで?」


「それはええな……」


優君は、羨ましげに答えた。




「ひな祭りはええねんけど、ホワイトデーはどないするんや、優君? 優君は、特に他の女子からもようけ貰っとるやん?」


僕は、ホワイトデーについて尋ねた。


「俺は義理には義理で返すだけやし、凌みたいに、手づくりで返せる様な甲斐性も持ってへん。まあ、凌は、小明一人だけやしな……」


優君は頭に手を当てながら答えた。


「まあ、確かに、小明一人だけやから、出来る事やな……。文音ちゃんにはどないするんや?」


「凌みたいに手づくりなんて出来へんから、高めのチョコ買って、カード添えるだけや……」


優君は少し照れ臭げに答えた。


「それはええな。そこまでする者は少ないやろ……」


優君は何だかんだ言っても、LOVEなんやわ、文音ちゃんに対して。まあ、照れ屋で素直じゃないから、言えないんだけどね……。




「凌君が、小明の御内裏様になってくれると嬉しいわね……、小明?」


ひな祭りになると、お母さんは毎年、毎年言い聞かせて来る。


「そんなん何年も先の事はわからへんやん、凌君も、私も……」


毎年の様に私はそう答えている様な気がするけど、去年よりは反論のトーンは弱い……と思う。


「そうね……。あの子に今まで浮いた話が無い事の方が不思議な位やね? いつも一緒に居る優君の引き立て役になっているんやろか? まあ……、この辺に居る子等は、わかっとるからね」


何が……?って、最近は聞かんでもわかって来とる。凌君が私に見せる顔と他の女子、文音ちゃんは別として、に見せる顔が全然ちゃうもんやって事……。


「そうそう、小明が絡むとムキになるさかい、おもろいから、からかうのやめられへんわね!」


からかうの止めたげてください、お母さん、可哀相やから、お願いします!


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