第19話
「「メリークリスマス!」」
なんて、形ばかりの、西洋の神への祝言を述べる。僕自身は、彼の宗教について信仰は無い。まあ、それはここでは関係無い話だ。
僕達は未だ10代前半で、前夜祭であるイブ、夜に出かけるなんて事は出来ないので、昼間に出かける事になっている。
「凌君、寒くなったね……?」
小明が呟いた。確かに、おあつらえ向きに、寒気が南下して来て、今季一番の寒さとなっていて、今夜遅くには雪が降るでしょう、と毎冬流れる某歌手のクリスマスソングの歌詞を思い出す。一人きりではないけど、僕の想いは告げられそうに無い……。
「ほやな……。手……、繋ごか?」
「うん」
手繋ぎは許される範囲になったみたいだけど、彼女は誰かと僕を比べているらしく、何か壁を感じる……。
「今年ももうすぐ終わりやね……」
「ほやな。正月は初詣に行こか?」
「うん」
「人……、多いな……」
「ホンマやな……。はぐれへん様に、手…繋いでた方がええね?」
クリスマスイブ、という事もあり、人込みだらけやった。昔から手繋ぎは当たり前の様にやっとった事やけど、小明の記憶が封印されてからは機会がほとんど無くなっていたので、恥ずかしさというのが出てくる。
「凌君といるとめっちゃ安心するねん……。ずっと前から一緒に居る感じやわ……」
小明が呟いた。
「(長いこと一緒に居るんやけどな……)ホンマ? そら、嬉しいわ!」
僕達は、手を繋ぎながら街中を歩いていた……。
「クリスマスの記念に、アクセサリー買おか?」
「そら、ええね!」
「ちょうど、あそこに露店があるで?」
僕達は、道中で見つけた、アクセサリーを並べた、ちょっと怪しげな(?)露店に足を運んだ。
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