第10話
月日は流れ、僕は小学校卒業を迎えた……。小明は相変わらず記憶は戻る気配は無い……。
「凌……、小明ちゃんの記憶戻りそうに無いよな……」
優君が話し掛けて来た。
「ほやな……。けど、気長に待つしかあらへんのちゃう? 神様とやらの気が済む迄さ……」
「しゃーないな! 神様が早う気が変わってくれるとええな! 文音も心配しとんねん」
僕の答えに優君も同意する。文音っていうのは優君の従妹で、小明と同級生だ。
「凌先輩、卒業おめでとうございます! 優君も」
「文音ちゃん、ありがとう」
「文音、俺はついでかよ?」
卒業式後、文音ちゃんが小明を連れて挨拶に来た。
「悪いですか、優・先・輩? ほら、小明も!」
文音ちゃんは優君を挑発しながら、小明に挨拶を促した。
「黒谷先輩、卒業おめでとうございます! 写真を一緒に撮らさせて貰って良いですか? 母さんが……」
「良いよ」
おばさんが僕に気を遣ってくれたみたいやな……。
四人、小明と僕、文音ちゃんと小明、ついでに文音ちゃんと優君……の写真を何枚かずつ撮った。
「凌先輩、小明の事は私にお任せください」
「文音ちゃん、ありがとう。頼りにしてるよ」
僕は、文音ちゃんの言葉に笑顔で返事をした。文音ちゃんは思わず顔を赤くして、優君には小突かれた……、嫉妬……?小明は……、何とも言えないような表情をしていた。
「凌、小明ちゃんの事心配か?」
優君が尋ねて来た。
「ん……、まあね。ほやけど、いつまでも見守るっちゅうのは難しいよな……」
「まあな……。それはまるでまるっきりストーカーやからな」
小明離れせなアカンのやろな……。
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