第3話

「小明、体調はどうや?」


小明が入院して翌日、僕は病院へ見舞いに行った。昨日、帰ってきたおやじ、お袋、小明の父さん、母さんの様子を見るに、これは簡単な病気ではないって感じ取った。




「そうか……。ほな、尚、行かなアカンやろ」


学校で、優君に昨日の様子を話した。


「ホヤな!」




「今んとこ大丈夫やで……、凌君」


小明は、気だるそうだが、心配させんとこって思っているのか、空元気に見える感じで答えた。


「まあ、病気ん時は大人しくしときや……。俺が神様に、早う小明の病気治したって!ってお願いして来るわ!」


「ありがとう……。気持ちだけでも嬉しいわぁ……! 私は、凌君が傍に居ったらそれでええねん!」


小明は、本気にしてないみたいやな……。僕は、小明が死んでもうたらアカン!小明が良かったとしても、小明がこの世からいなくなって、二度と会えなくなる事、それが一番避けたい事なんや!小明の病気さえ治るなら、小明が生きてさえいれば、例え、命を捧げたって僕にはどうって事無いと本気で思っていたんだ……。




「凌! 小明ちゃんの具合が悪くならん内に、な。今週末が良いやろ?」


優君が提案して来た。


「ほやな! 善は急げ!っていう諺もあるし……」


「ほや! 後な、神様にはお供え物が付き物や……、お稲荷さんには油揚げ持って行くやろ?」


「確かに……。ほやけど、今度の神様には、何をお供え物にしたらええんやろか?」


「わからへんわ……」


僕達は、しばらく、唸っていた……。

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