第2話 初・LIVE

翌日の朝


私はいつも通りに朝6時に起きて、事務所に行く支度をしていた。


ピコンッ!


「爽真さんからのメッセージだ……。」


私は、爽真さんからのメッセージを読んだ。

すると、そこには “初ライブ”というワードがあった。

私は慌てて、爽真さんに返信した。


『私の初ライブをするって、ほんとですか?!』


『ああ、本当だ。だが、紅音のソロライブでは無い。』


『えっ?誰かのライブにゲスト出演するっていうことですか?』


『そうだ。ちなみにそのライブは、心春がプロデュースしたライブだからな。』


『はい!分かりました!』


私は、10分ぐらいまで爽真さんとメールでやり取りをした。

爽真さんとの会話のキリがついたので、身支度の続きをした。




事務所


「おはようございます!」

「瀬戸口さん、おはよう。今日も元気だね。」

「はい!めちゃくちゃ元気ですっ!!」


私は元気よくこたえたら、周りの人は軽く微笑んだ。


「あら、朝から賑やかね。」


自動ドア付近から声がしたので、私は振り向いた。

すると、そこには心春がいた。


「あっ、心春ちゃーん!!」

「紅音、おはよう。」

「おはよう、心春ちゃんっ!」


私と心春は、一緒に楽屋まで向かった。



-楽屋-


ガチャ


「おはようございます、爽真さん。」

「おはよう、紅音。……今日は、心春も一緒だったのか。」


爽真さんが心春に尋ねて、心春はうなづいた。


「あ、そうだ。心春、紅音のことよろしく頼むな。」

「はい、ちゃんと面倒を見ときますね。」


爽真さんと心春の会話に少し気になり、2人に質問をした。


「えっ?私……子供と勘違いされてます?」

「違うわよ。貴方は、私のライブにゲスト出演するんでしょう?」

「はい、します!!」

「今日から私と紅音は、ライブに向けてレッスンに励むんだけど、貴方のマネージャーの爽真さんが今日から少しの間、出張なのよ。」

「そうなんですか……。」

「だから、私が貴方の面倒を見るってわけ。」

「心春センパイ、今日からよろしくお願いします!」


私が心春にお辞儀したら、心春が言った。


「言っておくけど、私のレッスンはキツイわよ?……覚悟出来てる?」

「はいっ!バッチリ、出来てます!」


(すごいやる気ね……紅音。)


「紅音、先にレッスン室に行ってて。私は飲み物を買ってから、向かうから。」

「はい、分かりました!」




私はレッスン室に向かい、レッスン着に着替えた。



-数分後-


レッスン室


「早速、紅音!レッスンを始めるわよ!」

「はい!なんでもかかってこいっ!!」

「……言ったわね?」


ギクリ


「は、はい……。」

「まず、腕立て100回!次に腹筋100回!」

「え〜、、」

「つべこべ言わず、やるっ!!」

「……はいっ!」



私は、心春がこんなにも厳しい人だったことを認識した日となった。





-数時間後-


私は、腹筋100回、腕立て100回をやり遂げ、ライブで踊るダンスを練習をした。


「はぁ〜、疲れた〜っ!!」

(最近、運動していなかったから……明日、全身筋肉痛で死ぬかもしれない…。)



ガチャ


「紅音、レッスンお疲れ様。よく頑張ったわね。」

(しかも、私のハードな練習内容を……。)


「ありがとうございます、心春センパイ!」


私は、心春からコーヒーを受け取った。


「に、苦っ!?」

「もしかして、紅音……コーヒー苦手だった?ごめんね」

「だ、大丈夫です!!コーヒーぐらい飲めなきゃ、アイドル失格だし!」


(アイドルとコーヒー苦手は、関係ない気がするけど……コーヒーに挑戦してる紅音が少し可愛いからいいや。)



それから、私は心春の厳しいレッスンを毎日こなし、遂に心春のライブ……私にとっての初ライブがやってきた。



-Zepp Tokyo-


楽屋


「めちゃくちゃ緊張してきた……。」


私は、緊張し過ぎて会場に十分早く着いてしまった。


(まだ、心春も来てないし……不安だよ。)


ガチャ


「おはようございます……って、紅音、もう来てたんだ。」

「うん、今日が楽しみと緊張で十分早く着いちゃって……。」

「紅音は、初ライブなのも。緊張して当然よ。……でも、緊張してるからって手を抜いたりしたら許さないわよ。」


心春が言ったことに私は、うなずいた。

私は、今回のゲスト出演が初めてのライブになる。だから、緊張することは悪いことではない。

ただ、それを理由にダンス・歌を劣ることは許されない世界。



私たちは、本番1時間前からダンスの振り付けを復習していた。そのとき、社長兼私のマネージャーの爽真さんが楽屋に入ってきた。


「2人とも、おはよう。早く来て、ダンスの復習か?」

「はい!体を動かしてないと、緊張が収まらなくて……。」

「紅音は、初ライブだから緊張するのは仕方ないぞ。でも、初ライブ頑張れよ!」


爽真さんは、私に応援エールを貰った。

私は、爽真さんにニコッと笑って、ダンスの振り付けを復習した。


そのあと、2人はステージに立って、ファンのみんなに笑顔を届けてその時を終えた。



-ライブ後-


私たちは、ライブが終わったあとにファミリーレストランでライブの打ち上げ会をした。


「紅音、初ライブお疲れ様!」

「ありがとうございます!今日のライブ、とても楽しかったです!」

「それはよかった。」


私は、席を立ってある宣言をした。


「私は、いつか!!一人の力でライブ会場をうめることを!誓いますっ!!!」


「えっ、ちょっと……紅音?!迷惑になるから今は少し声のボリューム抑えて。」


「あ、すいません……。」


私は心春に注意され、静かにオレンジジュースを飲んだ。

心春は、少し表情を強ばって私に伝えた。


「紅音、今回は私のライブのゲストとしての出演だったけど次のライブの機会は……きっと、貴方のソロライブになるわ。」


(私のソロライブ……。)


「でも、今回のライブで紅音の凄さを実感したわ。ソロライブの機会があったときはきっと、大丈夫よ。」


「ありがとうございます!心春先輩のように頑張ります!」


私がそう言ったあと、心春が首を横に振って言った。


「いいえ、私は貴方の先輩ではないわ。……貴方の初めてのライバルよ。」


「私の……初めてのライバル。」

「なんか、私……本当に夢が叶うかもしれないんですね!」


心春は、私の言葉に頷き語った。


「紅音の夢が何かは分からないけど、叶えたい気持ちがあればきっと、叶うわ。」


「はい!私、精一杯頑張ります!」


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