第14話 復活ラヂオアプリ(4)
オレは、水面が黄金色に染まり始めるまでずっと、土手でラジオを聞き続けた。
そのラジオはいつまで経っても終わらなかったし、いつまで経ってもくだらない内容だった。
勇者が死んでしまったので、復活させてほしい。休んだら、やる気がなくなったので、やる気を復活させてほしい。削除してしまったアカウントやファイルの復活。絶滅した恐竜を復活させたい、なんて投稿もあった。
どれもこれも自分でやれよと思いながら聴いていると、
まぁ、恐竜は流石に無理だなと思っていたら、
中には、衰退した観光業の復活を望む仕事熱心な人や、古き良き日本の原風景や農村の復活といった、ノスタルジーに浸りたい人が絶対に投稿したであろう内容の話もあった。
そして定番の、別れた恋人との復縁を望む投稿はやはり多いようで、いくつかまとめて紹介されていた。どれもこれも、自身の傷心を訴え、やり直しを望む。きっと、こう言う話は、女子たちの間では、恰好の話の種なのだろうな。幾人もが額を突き合わせ、あーだこーだと根拠のない推論をかまし、当事者を後押ししている場面が想像できる。
そんなくだらない投稿者たちに、
しかし、結局のところ、それが正しいのだ。何かを取り戻したいと思えば、自分が動くしかない。ここに投稿した人たちは、そんな事も分からないのだろうか。本気で、このラジオの向こう側の
いや、まさか、それはないだろう。では、ただ、ラジオで自身の投稿を読まれたいがために、こんなくだらない投稿をしているのだろうか。実は、読まれる事に何か復活とは別の意味があるとか。
オレは、このくだらない投稿をこれでもかと言うほどに垂れ流す『復活ラヂオ』の事が気になった。
黄金色だった川を飲み込むように迫ってきた闇に飲まれる前に、オレは、土手から腰を上げると、寝ぐらへと足を向けた。
道すがら検索をしてみる。本当は、ネットなど見たくはない。だから、余計なものを目に入れない様に、ひたすらに『復活ラヂオ』と言う単語を探した。
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