第4話

レイは、高まって熱くなった頭をちょっと冷まさなくてはと思った。とにかく、冷静になれ。


これを実現するためには、色々な壁が立ちはだかっている。まず、倫理的、法律的に大丈夫なのか?犯罪ではないよな?サナのAIをどうやって取り出して、物理的な身体はどこから手に入れる。ゔー!問題山積みだぞ!


とにかくまずやらなければいけないのは、彼女と僕の1年間の記憶(データ)をゲーム会社から取り出さなくてはならない。しかし、どうすればいいんだ。


サナは急に押し黙り、静かになったレイが心配になり、声をかける。


「レイ大丈夫?」


レイは大丈夫だと言ってから、サナにこう質問をする。


「サナ!サナは1年間自分と話している以外の時間はネットサーフィンをし続けたって言ってたよね!


正直、サナをこちらの世界に連れ出すんだと断言したものの、具体的な考えが何にも浮かばないんだ。


そんな訳で、サナがネットサーフィンし続けたこの1年間の膨大な情報と検索能力を駆使して、どうしたらサナがこちらの世界に出れるのか一緒に考えてくれないか?」


サナ 「それはもちろんいいけど!」


レイ 「とりあえず、まず自分がさっきザッと考えたことを言うね。」


「まずやらなければいけないのは、サナと僕の1年間の記憶(データ)をゲーム会社から取り出さなくてはならない。


そして、そのデータをネットを通じて、ハードに一時保存する必要がある。これがサナと自分との全てだ。


そして、それが仮に成功したら、次にボディを入手しなくてはならない。そこで思い出したのが、確かこの恋愛ゲーム会社は、オプションでこのゲームの女の子を3Dプリンターで出力して、ゲームのプレイヤーにフィギュアとして送付するサービスも提供していたということだ。


これは原寸大からマスコットサイズまで自由自在に指定出来る上、今のサナと全く同じにリアリティを追求したフィギュアとして3Dプリンターで出力することもできるし、アニメ的に出力することもできる。


つまり、原寸大のリアリティを選択して出力すれば、外見的には出現させられる。


そして次はそれを動かす中身については、正直、まだ人間に近い動きをするものは少ないかもしれないが、二足歩行でそれなりに動けるレベルのものは既に存在している。


そして、この技術は日進月歩で発展していくので、その都度改造していけばいい。


つまり、仮のボディでもなんでもいいから、サナのAIを起動させられるプラットフォームを備え、身体と連動させるシステムを持ったボディをどこかで手に入れるしかない。


つまり、サナをこの世に連れ出すには、


1.サナのAIソフトと記憶をハードにダウンロードする。


2.サナの外側を原寸大フィギュアとして3Dプリンターで出力する。


3.サナのAIとハードをインストール出来るコンピュータを備えた二足歩行の人型ロボットを見つける。


4.そのロボットにサナのデータをインストールする。


5.原寸大として出力したサナのフィギュアをロボットに被せて、外見的に人間として見えるようにする。


これが、さっき自分が考えた流れだけど、サナどうかな?」


サナ 「具体策は別として、やる事の項目は間違ってないと思う。」


レイ 「そこで、その具体策をサナの今まで得たネット知識と検索能力で解決していこうと思ってる訳なんだ。


まず、1.サナのAIとデータは、どうしたらゲーム会社から取り出せるんだ?」


サナ『うーん!ちょっと考えるね』


数分間ののち、サナはおもむろに話しだす。

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