「挨拶」について

 あなたは今日、挨拶をしましたか?挨拶をすることはコミュニケーションを図る上での「基本中の基本」とされていますが、どのような挨拶をされましたでしょうか?恐らく、多くは「おはようございます」もしくは「こんにちは」だと思います。ここで一つ、私は「こんばんは」の使い所が難しいことに気がつきました。直近で使った記憶が思い出せないのです。せっかく「こんばんは」という言葉が存在しているのだから、私はどうしても使いたい気持ちがあります。


 一日は二十四時間なので「おはようございます」、「こんにちは」、「こんばんは」を八時間ごとに区切って三等分することだって可能なはずです。その場合、一例として区分けを考えてみましょう。まず、お昼の十二時を起点に考えた方が分かりやすいでしょう。十二時から前後4時間を「こんにちは」の時間にしましょう。そこから流れに沿って振り分けていくと、「こんばんは」が十六時から二十四時、「おはようございます」が〇時から八時となります。どうでしょう、納得いかないですよね。私も納得いきません。真夜中に「おはようございます」と言われても、「芸能界気触かぶれかな」と邪推されてしまうだけです。

 少し修正しようと思います。今度は、太陽を基準に考えていきましょう。夏至の際の日の出の時刻は大体四時過ぎくらいですので、四時から八時間後の十二時までを「おはようございます」の時間に設定します。そして、「こんにちは」を十二時から八時間後の二十時まで、「こんばんは」を二十時から翌日の四時まで、これで文句はないでしょう。いや、ありますよね。この三等分という考え方はあまり宜しくないのかもしれません。太陽が昇っている時間で考えるところまでは、間違っていないと思います。このまま続けていきましょう。

 三等分に固執せずにもう一度考えてみましょう。「おはようございます」の時間は、四時からせいぜい十一時ですかね。喫茶店のモーニングの時間というのは、どこのお店も十一時頃までなんですよ。そこからはランチメニューに変わってしまうんです。私は喫茶巡りが趣味なのでそれに倣ってみました。「こんにちは」の時間は、太陽が沈むまでとすると十一時から十九時くらいですかね。南の島の方の日の入りまで考慮してしまうと、色々と辻褄が合わなくなってしまうので飽くまで東京基準で設定します。そうすると、残った「こんばんは」の時間は十九時から翌日の四時までとなります。

 一旦、整理してみましょう。「おはようございます」が四時から十一時の七時間、「こんにちは」が十一時から十九時までの八時間、「こんばんは」が十九時から二十八時(分かりやすいように数字を足していますが、翌日の四時です)までの九時間となりました。あれ、「こんばんは」の時間が一番長いではありませんか。一日の中で一番使うはずの挨拶がないがしろにされ冷遇されている状況、悲しい現実が待ち受けていました。


 今この文章を書いているのは〇時前後です。外に出歩かない限りは「こんばんは」と言うこともないでしょう。でも、心には留めておいてほしいのです。「こんばんは」という存在を。常識的に有り得ない時間帯であっても、「こんばんは」はあなたを見捨てたりはしません。「こんばんは」がいつもあなたの支えになっているはずです。心のふるさとである「こんばんは」はいつでもあなたの帰りを待っています。

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