面食い女子、思いを伝える。

あの日の白雪くんはどんな気持ちだったんだろう。


“一目惚れです。彼女になってください。”


一か八かの状況と今の私では全然違うというのに、緊張してしまう。

白雪くんはなかなか話せなくても急かすような人ではい。しかし、ゴンドラはもうすぐ上に着く。

……上手く話せなくたっていいよね。


「白雪くんと過ごせたこの1ヶ月はとても楽しかったです。知らない世界をいっぱい経験したと思う」


こんな風に男の子と出掛けることも、彼のお家に行くことも、航平さんみたいな大人と知り合うことも、今でも現実離れした出来事のように思う。


「これからも白雪くんと新しい経験をしていけたら楽しいだろうなと思っているよ」


手を繋いでいない方でネックレスを撫でる。切れ長の目が一挙一動を逃さないとばかりに見てくるから、恥ずかしさに反らしてしまいそうになるのを堪える。

そっと一度息を吐いて……


「白雪くんのことが好きです」


ぼそっと小さな声になってしまった。

でも、心配しなくてもちゃんと届いたみたいだ。真剣に聞いていた彼は花が綻ぶように笑った。


「ありがとう。大好きだよ」


抱き寄せられた私は目を閉じる。ちょうど頂上だ。


「もっともっと、りっちゃんを大事にするから。ずっと一緒にいてね」


唇が触れ合ったのが分かった。



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