内緒の予定
月曜日の夜は菜乃ちゃんとドラマを見るのが恒例だ。今期は大学生とOLの恋愛もので、氷野蓮馬が親友枠で出ている。
「お姉ちゃんは白雪さんに夢中なんだと思ったら、しっかりアイドルも追いかけてるよね」
「長年の習慣だからね」
白雪くんとの時間が増えた分、ファン活動は減っているけど完全に無くなることはきっとない。落選したけど今週末のコンサートにも行きたかったもん。
蓮馬くんが所属している『tHunder』は年々チケットが入手困難になっている。初期の頃はほぼ当選してたんだけどなぁ……寂しいけど嬉しい悩みだ。
「今週も二人の友情が最高だったー!」
OLさんとの恋よりも、主人公と蓮馬くんの友情のほうがSNSで盛り上がっているという脚本はどうかと思うけど、オタ界隈は毎回沸いている。クールなのに親友には優しくて、いずれ三角関係に発展するのでは?という視聴者の予想を裏切るとにかく良い人なのだ。
オタ友たちの呟きをチェックしようとアプリを開いて気付く。非公開でメッセージを受け取っていた。相手はナミさんという初期から相互フォローしている人で、たまにコメントをくれたりしてる。
「……え?」
予想していなかった内容に数回読み直してしまった。
行けなくなったお友達の代わりに同行しないか?というお誘いだった。なんで私?という疑問はあるものの、いくつか思い浮かぶ理由はあった。それにしても……
「こんな良席当たったこと無いよ!?」
tHunderの顔が肉眼ではっきり見える距離だ。
これを断れるファンがいるのかって話……。
迷うことなく承諾しようとする私に、電話の着信音が響く。
「もうこんな時間? 白雪くんと電話する約束だった!」
ナミさんへの返事は後にしよう。
そういえば、白雪くんは氷野蓮馬の話をしたら拗ねていたよね?
今週末はバイトで忙しいみたいだし、コンサートに行くことは言わなくても良いかな?
白雪くんには内緒にしておこうと決め、私は通話を始めた。
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