観覧車
夕暮れ時の街は橙色に染められていて綺麗だ。観覧車から食い入るように遠くの場所まで見てしまう。
正面に座る白雪くんに目を向けると、同じように景色に見惚れているようだった。
格好良いからアンニュイな雰囲気が似合うんだなぁ。芸術作品みたい。
そして、胸元には一緒に買ったネックレスが輝いている。シンプルで使いやすい華奢なデザインだ。
同じものを着けてるのに、人間が違うとこうも違って見えるのかという……やめよう、悲しくなる。
「りっちゃん」
「ん?」
「隣に座っても良い?」
頂上に差し掛かる前に声を掛けられた。
小首を傾げてにっこりと微笑まれてるけど、小悪魔的な可愛さがある。何か企んでいるというか、含んだ表情というか……
流石に私でも分かる。
全国の観覧車でジンクスがあるよね。2人で乗ると別れるってものもあるけど、ここの観覧車は逆らしい。その証拠にカップルがたくさん並んでいたもん。
「いいよ」
乗り込んだ時から覚悟はしてる。こんな極上の相手がファーストキスだなんて、これからの人生への影響がちょっと怖いなぁ……なんて頭に過った。
白雪くんが移動したことでゴンドラのバランスが傾く。そっと指を絡め取られるのを見ながら、私は「待って」とお願いした。
嫌がっていると誤解したのか離れて行こうとする指をぎゅっと捕まえる。
「白雪くん、お話聞いてくれるかな?」
君に伝えたいことがある。
“好きです” たった4文字なのにどうしてこんなに鼓動が速くなるんだろうね。
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