どうやらそのスキンシップには弱いです

お揃い探しは難航した。

可愛いものは溢れているんだけど、白雪くんが持つには違うと思ってしまう。

友達とお揃いの文房具を買うだとか、双子コーデをやるのとは別の話だと思う。


「りっちゃんが決めてくれたものなら何でも良いんだよ」


本当に何でも良いと思っていそうな白雪くん。決定権を任せてくれているからこそ、悩んでるとも言える。


「ごめん、今度はあっちのお店見て良いかな?」

「もちろん。ゆっくり見て良いからね」


私の焦りを見透かして、優しいことを言ってくれる。さりげなく頭をぽんぽんされて心の中で叫んでしまった……。


なんか白雪くんが一緒だと店員さんがよく声を掛けてくれる。彼女(そうは見えていないのか?)がいるっていうのに、お近づきになりたい様子が駄々漏れなんだよね。

お洒落な人達がアドバイスくれるのは有り難いんだけど、白雪くんとゆっくり買い物したいんだけどな……。


「りっちゃん、疲れちゃった? ジュースでも飲む?」

「……ちょっと休もうかな」


あれから数軒回っても決められず。

こんな振り回すような買い物をして、白雪くんが楽しいとは思えないんだけど。なぜか彼はいつも以上にご機嫌な様子で、聖人なんだろうか?


……少し休憩して、自分本意になってることを反省しよう。


「どうぞ」


ベンチで待っていると白雪くんがミルクティーを買ってきてくれた。よく冷えているし、甘さ控えめで美味しい。


「白雪くんが気になったものはないのかな?」

「りっちゃんが決めてくれたら良いんだよ」

「それだと買い物だけで日が暮れちゃうよ……」


私の意見ばかり優先しなくて良いんだよ。

「もっと意見貰いたい」と呟く。

小さな声だったけど、ちゃんと白雪くんに届いていたみたいで、彼は遠慮がちに口を開いた。


「実はりっちゃんに似合うだろうなと気になってたネックレスがあって、ユニセックスなデザインだったから俺もつけられるよ」

「私を基準にしなくて良いのに……」

「りっちゃん、これは2人の記念だよね? りっちゃんが俺に似合うもので選ぼうとしてくれているように、俺だってそうしたいと思うんだよ」


息を呑んだ。

ごもっともだと思う。白雪くんのことしか考えていないプレゼント選びはお揃いである必要がないよね。


「これ飲んだら、そのお店に連れていって貰って良い?」

「もちろん」


白雪くんが口角を上げたと思ったら、また頭をぽんぽんされた。ぎゃー!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る