幸せってこういうこと?

快晴の土曜日、私は白雪くんとショッピングモールに来ています。大観覧車が有名なところで、あとで一緒に乗るつもり。


「……」

「りっちゃん、緊張してる?」

「はい……」


初めて腕組みして歩いてるけど、あのお顔も声も近すぎる。あと、肌綺麗すぎる。

1ヶ月経っても何でこの人が隣を歩いているのか分からない時がある。

たぶん周りから見れば「なんであんな女と」と思われてる。卑屈な気持ちになっても、白雪くんの顔を見れば吹っ飛ぶからどうでもいいんですがね!


「今日のメイクもいいね」


私の顔なんてじっくり見ても楽しくないと思うけど、今日は朱莉ちゃんに教えて貰ったメイクなので反応があるの嬉しい。

白雪くんに合わせた大人っぽいメイクなんだけど、色を変えたりするだけでも随分と印象が変わるもんなんだね。


「いつも褒めてくれてありがとう」


白雪くんと出会っていなかったから、知らないままだったことは少なからずあるのかもしれない。1ヶ月前の私には想像していなかった世界だ。

ドラマや漫画で「恋をすると世界は変わる」と言われていたけど、それは確かにそうだと思う。


放課後に約束している日は朝から白雪くんのことを考えている。学校で起きたこと、美味しかった食べ物、あれもこれも話したいなって思う。

実際に会えば別の話題ばかりなんだけど……。


ああ、なんか、胸がいっぱいになる。

幸せってやつなのかな?

ちょっと気恥ずかしくて、密着している腕に力を込める。


「ん? りっちゃん、どうかしたの?」


蕩けるような微笑みに私は「なんでもないよ」と誤魔化した。うるさい心臓の音もどこか心地よかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る