アルデバラン
カフェバー“アルデバラン”は半地下の隠れ家的なお店だった。店内は青を基調としているようで、おしゃれなライトが夜空の星のようにキラキラしている。
「いらっしゃい」
20代半くらいのオーナーがお友達らしいけど、白雪くんと並んでも劣らない美形だった。名前は航平さんと言うらしい。
もし、スクールカーストの頂点に君臨してたと言われたら「ですよね」って頷いちゃう。髪型も服装も清潔感があって、嫌な気持ちになる要素がない。
「こいつの兄貴と俺が幼馴染みで、歳は離れているけど長い付き合いなんだ」
「白雪くんのお兄さん!」
2人兄弟だとは聞いているけど、きっとイケメンなんだろうな……この幼馴染み達どうなってるの?
「りっちゃん、先に注文しよう。これとか美味しいよ」
ショーケースの中には7種類ほどのケーキが並んでいた。白雪くんのおすすめはベイクドチーズケーキらしい。焦げ目が綺麗で美味しそう。
「……分かってないですね、白雪さん」
菜乃ちゃんから待ったの声が掛かる。
「お姉ちゃんは生クリームたっぷりのシフォンケーキが好きなんですよ。毎年誕生日にリクエストしてるくらい」
「へえ、そうなんだね」
「ここに並んでいる紅茶か抹茶なら、抹茶のほうが好きだよね?」
確かに抹茶のシフォンケーキも美味しそうだと思っていた。さすが菜乃ちゃん!
「お姉ちゃんのことなら菜乃が一番だもん」
「りっちゃんのことが大好きなんだね。凄いね」
「当たり前です。……ちょっとくらいなら、お姉ちゃんのこと教えてあげても良いですよ?」
「りっちゃんのことを聞くには菜乃ちゃんが一番だと思うから嬉しいよ」
2人のやり取りを見ていたら、朱莉が「マウント取られたふりして懐柔させてるっぽいね」と意味の分からないことを呟いた。
首を傾げる私に朱莉が微笑む。
「そんなことより、六花は航平さんと話したいんでしょう? ここは任せて話してきて良いよ」
「そうだった!ありがとう、朱莉!」
今日の目的を忘れるところだった。
朱莉に協力して貰い、私は航平さんと2人だけで話をしたい。白雪くんの好みを知るために!
意気込んでいた私は知らなかった。航平さんがそっとため息をついたことを。
「あいつ、あからさまに話題変えやがった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます