耳打ち

「りっちゃん!」


待ち合わせ場所に居た白雪くんは今日も顔が良い。声を掛けたそうにしていた女の子達がこちらに気付いて去っていくのが見えた。モテモテですね。


「確かにお姉ちゃんが好きそうな顔」


私の右腕にくっ付いている菜乃ちゃんが警戒心丸出しで見ている。こんなに人見知りする子だったかな?


「こちらが友達の朱莉で、こっちが妹の菜乃。菜乃ちゃんとは偶然会って一緒に来て貰ったの」


二人とも可愛いから、間に挟まれた私の平凡っぷりが際立ってしまう。でも、大好きだから良いんだ。二人のことを自慢したい!


「難海高校1年の白雪です。今日は会えて嬉しいです」

「せっかくなので、白雪さんとはよーくお話したいです!」


恥ずかしがってると思ったのに、菜乃ちゃんは白雪くんに興味津々みたいだ。

会ってみたら安心したのかな?


「みんな噛み合って無さそうで面白いね」と朱莉が呟いたけど、意味が分からず首を傾げる。


「とりあえず移動しようか。店でゆっくり話そう」

「そうだね」


歩き出そうとした私に白雪くんが近付いてきて耳打ちをする。


「俺もりっちゃんと腕組みしたいな」

「え!?」

「次のデート楽しみにしてるね」


もしかして菜乃ちゃんと張り合ってる?

そんなわけないよね。


……耳元で話をされるってこんなに照れるもんなんだね。





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