友達に紹介しましょう
「なんでここに菜乃ちゃんがいるの!?」
学校の最寄り駅の前を歩いていると、いるはずもない妹の姿を見つけた。
制服ではなく私服に着替えていて、学校帰りという様子ではない。
「今日は早帰りだったから、参考書を買いに来たの。こっちの書店がおすすめって先生に聞いたから」
本屋の名前が入った袋を見せられる。
「朱莉さん、お久しぶりです」
私の横にいる友達に気付いて、菜乃ちゃんは頭を下げる。
「久しぶり」
ハスキーボイスで一言返したのは朱莉ちゃん。中学からの付き合いなので菜乃もよく知っているし、3人で遊園地にも行ったことがある。
身長が高くて大人っぽい朱莉は女子校だったら大層モテただろうなと思う。
「予定がないならカフェに行きませんか? お姉ちゃんが好きそうなお店を見つけたんです」
菜乃ちゃんは私好みのお店を見つけてくれるのが上手い。よく私のことを知っていると言える。普段なら嬉しいお誘いだけど…
「ごめん、今日は白雪くんと会うから行けないんだ。朱莉ちゃんが白雪くんと会ってみたいって言うから、白雪くんにもお友達を紹介して貰おうと思ってて。まだお互いの友達に会ったことなかったから……」
「そうなんだ」
「ごめんね、今度行こうね!」
「うん、菜乃は大丈夫だよ」
そうは言っても、菜乃の声が寂しげに聞こえる。朱莉と会うのは半年ぶりくらいだと思うし、名残惜しいよね……!
内心あたふたしていた私に朱莉が「ねぇ」と声を掛けてきた。
「菜乃ちゃんも連れて行けば? ダメってことはないでしょう?」
「おお、なるほど!」
それいいじゃん!と思う私とは対照的に、「え?」と戸惑う菜乃の姿が。いずれ紹介したいと思っていたし、今日でもいいよね。
「白雪くんのお友達は年上みたいでね、カフェバーのオーナーさんなんだって! 昼間はスイーツとかある普通のカフェみたいだから、一緒にお茶しようよ!」
「お姉ちゃん達と一緒に居られるのは嬉しい。……けど、敵地に行くのにこの軽装では心許ないというか、心の準備が出来ていないというか……」
後半が小声で聞き取れなかったけど、難しい顔をしているから緊張してるってことかな?
菜乃ちゃんはしっかりしてるから大丈夫だと思うけどな!
「行くよ、こうなったら止められないの知ってるでしょ?」という朱莉に背中を押されて、菜乃も付いていくことになった。
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