お誘いされました

早いもので白雪くんからの告白から3週間が経った。最近は放課後に駅で待ち合わせて過ごすことが多い。

一緒に過ごす時間が増えてもあのお顔は飽きないって凄くない? 美人は3日で飽きるって嘘なんだね!?


難海高校は校則が自由な進学校だから、白雪くんはよく髪の毛を弄っている。今日は少し暑いからおでこを出したい日だったようで、いつもより色気が増してる。

見つめすぎると毒にもなりそうなそれを私は見ない。否、そんな状況ではなかった。


「頭の良い人って教え方も上手いんだね!」


いつもは理解不能な教科書の内容が今は輝いて見えた。理解できるって凄い!


テストが近いということで、嫌々ながら教科書を開いて白雪くんのことを待っていた。学校からカフェにやってきた彼は自然な流れで勉強を教えてくれて、私は感心しきりという訳である。

書き込んでくれた角ばった字が「白雪くんらしい字」だなと思う。


「良かったら、週末に一緒に勉強する?」

「良いの!? 白雪くんに教えて貰ったら成績上がりそう!」

「りっちゃんの役に立てるなら俺も嬉しいから」


……色気増してるのにその微笑みは反則だよ。


「休日だからファミレスは迷惑かな? 図書館って混むのかな? 詳しそうな友達に聞いてみるよ」


メッセージアプリを開こうとしたら、「待って」という声が掛かる。


「俺の家でもいい?」

「へ?」

「その方が時間も気にせず落ち着いてやれると思うから」

「いいの?」

「もちろん」


うちは菜乃ちゃんと部屋が共有だし、リビングも勉強には向いていない。

お家の方の迷惑になら無いのならお邪魔させて貰おう。すごく緊張しちゃうけど……。


「白雪くんのご家族って何人だっけ? 喜んで貰えるもの買って行きたいんだけど……」

「気にしなくていいよ、どうせ誰もいないし」


ん?

誰もいない?


「りっちゃんが来てくれるの楽しみにしてるね」


んんん?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る