冷たい反応

白雪くんも映画を気に入ってくれたようで、休憩に寄ったファミレスでも話題に困ることはなかった。


「戦闘のシーンだけど、氷野蓮馬はスタントマンなしでやったらしいよ。ダンスのスキルも高いし、運動神経が良いんだろうね」


所作が綺麗だったし、アップになった顔も綺麗。映画に出演していた若手の中で優勝を決めるなら間違いなく彼だ。


「番宣で出てた番組でストラックアウトをやっていたけど、1球失敗しただけでパーフェクト達成してたよ。プロでも難しいと思う!」


アイドルを引退してもアクションを売りに活躍しそうだなぁ。身長も高いからモデルもやれそう。


「りっちゃんは氷野蓮馬がタイプなの?」


なんだか拗ねた様子で聞いてくる。

デートなのに他の男性を誉めるのは面白くないのかもしれない。


「デビューした頃から応援してるし、格好良いなと思うけど……白雪くん以上の人は芸能人でもいないと思ってる」


顔の話だけど。

私の弁明に白雪くんは「そっか」と呟いた。口元が緩んだように見えるけど、こんな一言で喜ばれるとこちらも照れてしまう。


グラスを持つ手が骨張っていて男らしいし、休日だから付けているのかピアスも似合うし、落ち着いた話し方もクラスの男子たちとはちょっと違うし、顔から目を反らしても落ち着ける要素がない。

これは一般人という枠に納めているのは無理があるんじゃないだろうか?


考えることに没頭していたら、白雪くんが首を傾げた。えっ、何それ可愛い。


「りっちゃん、どうかした?」

「な、何でもないよ! あっ、白雪くんは好きな芸能人って誰かいる? 私ばっかり語っちゃったから聞きたいな」


どんな人が好きなんだろう?

可愛いアイドルでも気にしないから聞いてみたい。 これだけのイケメンが興味を持つのはどんな顔なのか気になるかも。


「……ごめん。芸能人は好きじゃない」


思いがけない返事は、これまでに聞いたことがないくらい冷たい声をしていた

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