妹に報告をする
結論から言おう。国宝級イケメンの彼氏が出来ました。
「菜乃ちゃーん! お姉ちゃんね、彼氏が出来たよー!」
共有部屋のドアを勢い良く開けると、妹の菜乃が目を丸くしていた。私と違って小さい頃から可愛いと持て囃されたそのお顔がたまらん。
「お、おおお、お姉ちゃんに、か……?」
「うんうん、びっくりするよね」
「菜乃のお姉ちゃんに彼氏? 菜乃だけのお姉ちゃんなのに?」
「うん? お姉ちゃんの妹は菜乃だけだよね」
今にも泣きそうな顔をしているけど、そんなにびっくりしたのかな?
「お姉ちゃんは菜乃とずっと一緒にいるはずだったのに。大人になったら菜乃と2人で暮らして、お姉ちゃんの好きなアイドルグッズを買い与えて、ずーっとお家に居て貰うはずだったのに……」
何やら呟いているけど、ふわふわした気分の私には聞き取れなかった。抱きついてきた妹の頭を撫でる。
同じシャンプーを使っているはずなのに髪質が全然違う。
「どこの馬……じゃなかった、相手は同じ学校の人? 何歳? お姉ちゃんと仲の良い男子なんて居たっけ?」
「白雪くんって言ってね、難海高校の1年生なんだって。菜乃ちゃんの志望校だよね、この辺で一番頭の良いところ。私は気付かなかったけどよく電車が一緒だったみたい」
電車の中ではインスタチェックに夢中なんだよね。友達に声をかけられるまで気付かないことはよくある。
「お姉ちゃんはその人のこと、いいなと思ったの?」
「顔が天才なんだよ」
「は?」
「マスクを外して貰ったんだけど、あんな理想的な顔初めて見た……」
思い出すだけでにやけてしまう。
「まさか、いや、お姉ちゃんならあり得るけど……顔で選んだの?」
「……うん」
返事に間が空いてしまうのは、ちょっとした罪悪感だ。何も知らない相手なのに、人生初の彼氏のことなのに、簡単に頷いてしまった。
「やっぱり、菜乃がしっかり稼いでお姉ちゃんを守ってあげないと」
妹の決意など知らず、私は白雪くんの顔を思い出して幸せに浸っていた。
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