第4話 再び

あれから二か月が経ち、会社が終わり今度はゆっくりと歩いて帰っているところ

辻からまたもや電話が鳴った。

「元気か?」辻からの入りはいつもこうだ。

「あぁ、今日は残業なしだ。元気もある」

今日は金曜日。何となく直感で辻からの電話で誘われるのはわかっていた。

素山は「BARだろう?行けるぜ」と答える。

「今日は特別な日なんだ、彼女を紹介できる。彼女の方から将春の名前が出たんだ」

すっかりと辻は素山を信用している。

それはそうかもしれない。素山は立派な中年だ。何も心配はない。

それに比べて辻は年々色男になっていく。

ふと思ったのだが、辻の彼女はなぜ素山のことを知っているのだろう。

ラグビー部の一年間は交流さえなかったし、辻から色々聞いているのだろうか。


最寄り駅で辻と合流し、ゆっくりと話しながらBARまで歩く。

昔付き合った女の話や、最近起きた事件の話。

そして辻の短い恋の話。マスターの夫婦愛の話。

店に着くとマスターは、素山の好きなレコードをかけ、丸氷の入ったバーボンが目の前に置いた。

辻はいつもどうり濃い目の芋焼酎を吞んでいる。

またもや、人がパラパラと帰っていく。

マスター、辻、素山の3人になり、マスターが口を開いた。

マスターの声を聞くかも注文以来ほぼ初めてかもしれない。


「私は、瑠璃子を愛しているんです」


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