第一章 真夏の日常

突き抜けるほどの、青空がしんどい。

濃ゆい水色の空はどこまでも澄んでて、入道雲と空の青と白のコントラストが眩しい。


私の名前は上原真夏(うえはら まなつ)。

今まさに青空に潰されそうになりながら、泣いている。




17年前の8月、私は産まれた。

今日みたいな「澄んだ青空のとても暑い日だった」と祖母から聞かされた。

名前の由来は言うまでもない。


何をもって「普通の家庭」と定義するのかは分からないが、祖父母に育てられた私は何も考えずに2人の愛情を一身に受けていた。


5年前までは。


何がどこで交差したのか。

何がどこで間違ったのか。

私はこの世に生を受けて良かったのだろうか。

いっそ消えてしまえば良いんじゃないのか。


そう思う度に祖父「カズさん」の笑顔と祖母「みっちゃん」の涙が、私の中にうずまく。


それ程に深い愛情を、私は彼らから享受していた。

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スコール 〜あなたの声が聞きたくて〜 立花えみ @squall800

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